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ビクターの鈍器系スピーカー・S-M5のレストアの続きです。
これまで…
1.Victor S-M5、ツイーター断線注意
2.Victor S-M5、レストア開始!
3.Victor S-M5、ウーファーのレストアその1
4.Victor S-M5、ウーファーのレストアその2
5.Victor S-M5、ドームツイーター修理その1
という流れです。
今回の記事は画像てんこ盛りの大作です(笑)
ダイアフラム交換作業の永久保存版
前回記事、ツイーターがこんな状態になっちまってダイアフラム交換を決意したわけで…
上がやらかしたツイーター、下が途中まで修理が済んだものです。
AliExpressに注文してたダイアフラムが到着しましたので作業再開です。
「輸送中に潰れて届いたらどうしよ?」という心配は杞憂でした。破損しないよう、ちゃんとプラスチックのケースに入っておりました。ちなみにペアで送料込みで218円でした、安すぎ…(笑)
決して変なモノではないです、かなりちゃんとしたダイアフラムです。
S-M5の元のダイアフラムとの比較です。
インピーダンスは両者とも8Ωです。
ボイスコイル口径は
・S-M5:25mm
・新ダイアフラム:25.4mm(1 inch)
という違いがあります。マグネットのヨーク部分に新ダイアフラムを嵌めてみましたが、少し余裕があり大丈夫でした(この余裕がボイスコイルのセンターリング時に重要なのです)。
では、新ダイアフラムの組み込み作業です〜
最初にツイーターを完全分解します。
プレートはサンドペーパーで均し、各パーツに付着している古い接着剤などはキレイに取り去ります。塗装を剥がすのに剥離剤を使おうと思ったのですが、端子部のパッキンなどを痛めそうなので剥離剤は使わず。
プレートは半つや消しブラックで再塗装しました。
いよいよプレートにダイアフラムを貼り付けますが…
上記の画像、それぞれのプレートにあるリングはダイアフラムを抑えるもの、真ん中のリングは何かというと、ダイアフラムの最外周が
・S-M5:41mm
・新ダイアフラム:38mm
となっており、プレートのダイアフラムがハマる凹み部分も41mm口径となっています。この凹み部分のセンターに正確に新ダイアフラムを配置して接着するため、外周41mmで厚さ1.5mmのリングを卓上旋盤で自作しました。
緊張の一瞬、ダイアフラムの接着です。
プレート側に前述のリングを嵌め、接着剤を塗りダイアフラムを接着します。ダイアフラムにはどちらが+であるか、リード線の根元に赤い印がついていますので、端子との向きを間違えないよう接着します。
ちなみに接着剤は何を使っているかというと、スリーボンドの1521Bです。
成分はおそらくDBボンドに近いものと思いますが、こちらは流動性が高く乾燥もDBボンドにに比べると若干遅いです(DBボンドはチューブから出したハシから乾燥していく感じで糸も引くし苦手なのです)。
で、接着が乾いたらダイアフラム抑えのプレートを接着して、ダイアフラムのプレートへの組み込みは完了。
一方、マグネット側ですが、元々、ヨーク(ドームの裏側)に吸音材がありましたので、それも同様に復元します。材料はグラスウールです。
ところでこれはなんのためでしょう?ドームから出た音がヨークに反射して反射音となるのを防ぐためだと思うけど、その認識で合ってるかな?
次にダイアフラムのリード線の処理です。
ダイアフラムのリード線はプレートの裏側を通すことはできませんので(プレートの裏とマグネットのハウジングは密着状態になるため)、プレートの表側を通します。S-M5の元のツイーターはどういう風にリード線を処理していたかというと…
はい、ドーム部分に穴を開け、そこからリード線を出しています。
この方式だとリード線がドームの出音と共に振動しますので、あまり望ましい方式でないような…
そこで、今回はダイアフラムの端に穴を開けてプレート表側にリード線を出すようにしてみました。
リード線を出した穴はボンドで埋めています。
その後、ボイスコイルを変形させないよう、マグネットとプレートを慎重に合体させてネジを仮止めします(ボイスコイルのセンターリングのためプレートを留めるネジはまだユルユルです。ボイスコイルのセンターリング方法は後述)。リード線の下にあるのは小さく切った両面テープです。
この両面テープはリード線が浮かないため、それとリード線とプレートの絶縁も兼ねています。この状態で端子とリード線を半田付けします。
半田付けしただけの状態ではリード線がむき出しで脆弱ですので、元のツイーターのようにコーキング剤でプレートにリード線を封入固定します。元がどういうコーキング剤か不明ですので前述のボンドで固めました。また元々の端子は非常に弱々しく、ファストン端子の抜き挿しには耐えれそうにないのでSPケーブルを短く切ったものを端子に半田付け(この後、ケーブルの先にファストン端子オスをカシメています)。
ツイーターらしくなりました!
この状態からボイスコイルのセンターリングを行います。
この時点でプレートのネジは仮止めの状態です(プレートが動くようユルユルの状態)。
実際にツイーターから音を出しながらプレートの固定位置(ボイスコイルのセンター位置)を探り、プレートのネジを本締めします。
その方法は自己流ですが、1kHz〜3kHzの正弦波の音(ピーっというトーン音)を出しながらプレートを前後左右に微量ずらしつつ、音がもっとも大きく澄んだところでプレートとマグネット部を留めるメジを本締めします。本締めの際、ネジ穴が空気漏れ箇所にならないよう、ネジにはボンドをたっぷりつけてネジ込みます。
最後にエンクロージャーにマウントする際のガスケットを1mm厚のゴムシートで製作しました。
S-M5の元々のツイーターの組み込みは密閉度を上げるために接着剤でべったりシーリングなのです↓↓↓
ツイーターの周りの接着剤がべっとり。密閉度は抜群なのですが、これでは後々ユニットを取り外すことが不可能です。ユニットの取り外しが可能で密閉度も維持となるとゴムかなぁと(なるべく薄いやつね)。
出来上がったガスケットをプレート裏に貼り付け、ネジの頭を塗装、プレートとマグネットハウジングの隙間をボンドでコーキングなど、細かい箇所の仕上げ作業を行なってツイーターのダイアフラム交換完了です!
いや〜長かった。
1記事ですが、これ、待ちも入れてなんだかんだで1.5ヶ月近くかかってます。
次回、ツイーターを組み込みS-M5のレストア完了か?
ツイーターの出音自体はOKなんだけど、ウーファーとのマッチングが心配です(特に能率が許容範囲か否か)。
続きは以下の記事です:
〜 関連記事 & おすすめ記事 〜
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Victor S-M5、レストア完了!
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Victor S-M5、ツイーター断線注意
|
Victor S-M5、ウーファーのレストアその2
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Lo-D HS-11D、ハードドームツイーターの断線修理
|
Victor S-M5、レストア開始!
|
Victor S-M5、ドームツイーター修理その1
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「Victor S-M5、ドームツイーター修理その2」への7件のフィードバック
A great blog. I will definitely need the information because I am before repairing Victor S-M5 (tweeters do not play – boxes is the property of my friend).
In Europe, it’s JVC S-M5. We also have this model made by OEM -> Heru LB7010 (personally I have it, fully functional) 🙂
Wspomnę tylko, że posiadm też w kolekcji Visonik D. 50, Visonik D. 40K, Visonik D. 4000, Visonik D.6000, Visonik D. 7000, Visonik D.8000 i inne.
Best Regards
Adam (Polska. Rzeszow)
hi, thnak you for posting.
You should draw out a line from a voice coil than you change a diaphragm if you repair dome tweeter of S-M5.
A voice coil of dome tweeter of S-M5 is single winding. It is easy to draw out line.
こんにちは
修理済みです。 すべてうまくいきます。
この特定のケースでは、コイルの1つのループをほどく必要はありませんでした。 ドームの真下に新しい線の部分をはんだ付けすることができました。 少量のすずによるはんだ付け作業。 そのような薄いジョイントはそれほど重量を加えませんでした。 新しいワイヤーを膜の反対側に通すだけで十分でした。 そして次のステップは「簡単」です。 2つのスピーカーを修理しましたが、上記は1つのスピーカーにのみ当てはまります。 2番目のスピーカーでは、目に見えるリード線のワイヤーを修理しました-コイルは外しませんでした。 スピーカーが鳴る-私の友人は幸せです、私もそうです。 再度、感謝します。
Thank you for your comment.
My articles are helpful for you, and I am glad.
なかなか大変な作業お疲れ様でした。
このツイーターのリード線のプレート端子への配線です。
ドームのエッジを貫通させるのは若干危険が伴い接着も嫌なので、私は、アルミプレートの裏側にP板カッターのV字溝削り工具でマグネットヨークと接触部にV溝を作成(何度か広げて逆台形断面溝にすれば良いかと考えました。
なお、ボイスコイルの錦糸線は45度ずらして自由振動ストローク距離を設けてから上記の溝に導くと良いと思います。
アルミプレーととの絶縁は錦糸線にサランラップを一周か二周させる位しか思いつきませんが、アルミプレートの溝を酸化させてアルマイトにすると云う手が有るかも知れません。あるいはマスキングして溝を極薄くラッカー塗装するとかですね。逆に錦糸線を溝通過部だけ薄く塗装かな?
ところで、私もAliexで25㎜ドームを取り寄せたのですが、コイル巻き層が厚くてギャップに入りません。
8Ωで4層らしいので1層ほどいて3層だと6Ωになって丁度良いのですが、3層だと線の引き出しが巻線の反対側になってしまいます。ボビン端の外側から内側に極薄の2㎜幅35μm程度の基板パターンでも貼ってボビンに穴を開けて錦糸線とハンダ付けする芸当位でしょうかね?
銅箔とボイスコイルのハンダ付け厚さが35μm以下に成らないので前の案はダメですね。
ボビン内側にV溝造って解いたボイスコイルを溝に接着してドーム側に近いボビン穴に通すのが正解かな。
溝も線と瞬間接着剤で強度が元通りになるし。
追伸です。
なぜALiの交換用ドームの極性が反対に成っていたのか考えてみました。
一般的なスピーカーは外磁型のフェライト磁石で構成されています。
一方、アルニコやネオジ磁石を使った内磁型のスピーカーは磁石の向きを外磁型と同じ方向にすると磁極の極性は反対方向になります。
そのため、アルニコ磁石を使った内磁型のYAMAHA NS-05のツイーターではボイスコイルの極性が反対に成ってしまうのだろうと推測できます。
同様に、Victor S-M5 のツイーターでも極性が反転していると推察できます。 いかがでしょうか。