以前からずっと欲しかったものの、なかなか縁がなかったTechnicsのSB-X01をようやく入手しました。かなり売れたスピーカーなので特に希少品というわけでもないんですが、もっと欲しいものがあったりで後手にまわっておりました。
画像だけ見ると16cmの2wayくらいに見えなくもないですが、10cm 2wayです。当時のテクニクスのこだわりであった「リニアフェイズ」を取り入れたものです。
サランネットをつけるとこんな感じ。
同社のコンサイスのスピーカー・SB-F1と比べるとぐっとシックです。右のスピーカーの角が破れているのが惜しい。ほとんどの個体はサランネットを取り付けるダボのゴムが硬化してサランネットが外れやすくなっていますが、この対処としてサランネット側のダボを瞬着でコートして太くすることで対処可能です。
背面はこのサイズのスピーカーにしては珍しく壁掛け対応になっていません。
メーカー関係なく、この時代のスピーカーの共通の特徴として背面に説明書が貼られています。タバコのヤニなどに長期間さらされた個体は裏面に貼っている紙類が著しく黄ばんでいるので分かりやすいです。逆に大して黄ばんでいなければタバコのヤニに晒されていないと判断してもよいでしょう。ただ、タバコのヤニに晒されなくとも経年で若干の黄ばみは生じるので、完全に真っ白という状態は皆無かと思います。
続いてユニットです
まず、ウーファー。
一連の鈍器系スピーカーのウーファーと比較するとセンターキャップは小さめです(ボイスコイル口径はおのずとこの口径以下ということになります)。エッジはクロスの凹型で硬化の心配はありません。
小さなボイスコイル口径にクロス凹エッジ、同じ時代の鈍器系スピーカーのウーファーやFOSTEXのFW100なんかとは全く異なる設計思想が面白いですね。前面に見えるアルミフレームは装飾で、実際は下記画像のような構成になってます。
ウーファーのユニット剥き出しのままでは、フレームの見た目が貧弱(といっても良ユニットです)なのも分かりますが、これはちょっとやりすぎな感じがしないでもないです。
ウーファーのマグネットです。マグネットの口径は約66mmです。鈍器系スピーカーのウーファーの標準的な口径は80mmあたりなので、ちょっと小ぶりですね。
ウーファーのチョイスからして、アコースティックエアサスペンション効果を狙ったものではないと思われます。強力なマグネットに大入力を入れてガッツンガッツンとコーン紙を動かす、という方向ではないです。小音量〜大音量までのバランスを重視したのかな?
お次はツイーターです。
このサイズのスピーカーにしては珍しくホーンツイーターです。
ホーンツイーターといっても、ドーム型ドライバー+ホーンといったところでしょうか。リニアフェイズ設計のためにドームドライバーを奥に配置し、バッフル面までをホーンにする、という合理的な設計です。かなり元気の良いツイーターでシンバルの音なども解像度よくはっきりと再生する優秀なユニットです。実際、このユニットは他のモデルにも採用されていて、テクニクス社内でもお気に入りのユニットだったのでしょう。
ツイーターの裏面です。
ボルト3本で留まっていますが、これを外せばユニットが外れる→ということは表面の化粧リングを外すとネジが見えるはず、と思ってアルミの化粧リングをテープを貼って持ち上げて外してみました。
この個体は接着剤が経年硬化して接着力が落ちていたせいか容易に外れました、試して容易に外れない場合は無理に外さないように、化粧リングが薄いアルミですので無理すると歪みます。
ってか、ネジが見えないです。ということは、ツイーターを外すにはエンクロージャー内から3本のネジのナットを外すしかないわけで、しかし、レンチの類いの工具が使えません。ナットを外すにはT型またはドライバー型のレンチを突っ込むしかなさそうです(残念、持ってないです。二輪四輪用の大きなものはありますが…)。
ネットワークです。
クロスオーバーは4.5kHz・12dB/oct。抵抗はツイーターの能率を減衰するためのもの。普及機にありがちなやっつけ仕事感もなく、きっちりとした作りは好感ですね。
このスピーカーというか当時のテクニクスのスピーカーの多くで採用されているターミナルです。
これ、使いにくいので嫌いです。見た目もよくないし(見た目は重要)。
さて、音質ですが…
低域から高域までバランスは良いです。ツイーターがドーム+ホーンなので高域が耳障りかというと、そんなことは全くなく、艶やかな良い音です。能率の低い10cmユニットに高能率のホーンを組み合わせるのは割と難儀なのですが、よく練ってチューニングしていることが伺われます、さすがテクニクス。低域も小音量から十分な低音が出ており、なかなかの音質です。大音量にすると歪み感が耳につくのは致し方ないですね(当時・15000円のスピーカーに多くを求めるのも酷ですね)。このスピーカーの特徴であるリニアフェイズを体感するかというと、まぁ体感はしませんね。同ユニットで作った非リニアフェイズのものを瞬時に切り替えて聴き比べれば分かるかもしれません。
さて、このスピーカー、ワタクシ的に何がお気に入りかというと、鈍器系スピーカーとよく似た構成&サイズですが、鈍器系スピーカーとは違ったアプローチで設計されていること。それと外観ですね、70年代末の良い時代のテクニクス製品って感じがたまらなく良いです。
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