以前、ネットを彷徨ってるときに気になってたスピーカー、SONYのSS-91というモデルです。やっと入手できました。ローエンドモデルだっただけに落札額も安かったッス(1978年当時、セットで19800円)。
サランネットはネジ止めで脱着できませんが、撮影用に外しました。
本来のサランネットが付いた状態はこちら。
分解してウーファーを取り出してみました。クロスエッジ、センターキャップもクロスで近づくとヨークが薄っすら透けて見えてかっこいい。コーン紙はCABOCON、厚手で剛性が高そうです。安い割に贅沢な作りです。エッジに問題を抱えてましたので、それについては後述。
ひっくり返してみると….
見ての通り、アルニコマグネットです。1978年頃、すでにアルニコが高騰していて、同時期のYAMAHA NS-451やVictor S-M3/S-M5はアルニコを売り文句にしてましたが、SS-91では特に売り文句ではないので、当時のTVやラジオのスピーカーが普通にアルニコを使っていた流れからでしょう。磁気シールドで蓋がされています。ずっしりと重量のある大きなアルニコマグネットではなく、スカっと軽いユニットです。
こちらはツイーター、ユニット外周にあるスポンジは絶対に触ってはイケマセン(笑)
これももちろんアルニコマグネットです。
かわいらしいアルニコマグネットのツイーターです。
取り外す際、マイナス端子が折れちゃいましたので、修理しました。
届いて鳴らしてみたところ、凄く変な音、低音が全く出ない。それもそのはず、エッジがカッチカチに硬化してました。当時のダイヤトーンのDSシリーズのごとく、まるで石のようなエッジでしたので、ブレーキフルードで軟化させました。
ダイヤトーンと異なり柔らかくなるまで時間がかかりました(当初、効き目なしかと思った)ので、ダイヤトーンとまったく同じダンプ剤ではなさそうです。上記画像は塗ったばかりなのでテカテカしていますが、染み込んで軟化してしまうと元の見かけに戻ります。
さて、エンクロージャーですが、これがもう製造ラインで一つ一つ手で熟練のパートのオバちゃんが組み立てんだろうなぁって感じ満々、温かみのある感じがたまりませんね。
コーナーのRは丸棒を使い、それに板を組んでいます。素朴で丁寧な作りですね、この作りはMarantzのLS-5Aなどで見られる造りです。ユニットのマウントは鬼目ナットで通常のボルト仕様です。ネットワークは画像はありませんがハイパスのコンデンサー一発のみです。
エンクロージャーで特筆すべきは、これ、突き板仕上げですよよよ。底に突き板の合わせ箇所があります。
凄いなぁ、贅沢だなぁ、そういえばSS-999も突き板ですので、この頃のSONYでは当たり前なのかも。
サランネットも木製の枠に三角にカットしたコーナーの補強、釘/ネジは使わずに接着剤で枠を組み立て、ネットをタッカー留めです。
なんだか良いモノ見せてもらった感いっぱいのスピーカーで幸せな気分になります。オーディオ全盛期で且つSONYオーディオが最も勢いがあった時期の製品でならでは、ですね。安価なスピーカーですが「手抜き」な要素がありません。
音質の方は、アルニコとはいえ低価格帯のスピーカーなので課題な期待をしてはイケマセン(笑)。ちょっとコモリ気味の音です。懐かしい70年代の音でしょうか、これはこれで味わい深いと思います。決して悪い音ではないです「けっこうイケるね」ってのが率直な感想です。ツイーターからはそれなりに音は出ていますのでネットワークのチューニングすると面白いかも。
そもそも、このスピーカーの用途は、当時大隆盛を極めたステレオラジオカセットの拡張用途です。
・ラジカセに備わった外部スピーカー端子に繋ぐ
・ミニプリメインアンプ・SONY TA-1500を介して繋ぐ
みたいな使い方が本来の目的かと思います。
SS-91はSONYのその後のコストダウンを象徴するモデルでもあります。
この後継として出たSS-92(1980年)は外観やユニットなどはまんま同じように見えますが、マグネットがフェライト化して磁気シールドも廃止。さらにその後のSS-93(1981年?)に至ってはエンクロージャーはユニットも16cmフルレンジ1発になってしまいました。
いま、この手の込んだスピーカーと同等品を日本国内生産するといくらくらいの品になるんだろうかと…良い時代ですねぇ>70年代後半
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「SONY SS-91、分解・フルアルニコです」への1件のフィードバック
当方もss91シルバー所持、引っ張り出し聞います。dalimenuetと対比、中々どうして立派なものです。確か1970代の作品、made in japan良いものです。大事にします。