Lo-Dの80年代の名機、20cm 3ウェイのHS-33Dと16cm 2ウェイのHS-11D、現代でも通用する非常に優秀なスピーカーでありますが…いかんせんハードドームツイーターの断線率が異様に高いです(HS-11D、HS-33D、HS-55Dのツイーターは共通部品です)。後述しますが、断線修理は容易な部類ではないです。
で、今回は断線修理ではなく、新品のダイアフラムに交換する作業です。
少し長いので前編&後編の2記事となります。
1.修理対象のLo-D HS-33Dのドームツイーター
2.HS-33Dのドームツイーターの分解と構造
3.新品の汎用ダイアフラム
4.汎用ダイアフラムの装着が超難儀
5.汎用ダイアフラムの装着方法を検討
軽く1年以上前にオクでゲットした断線したHS-33Dのツイーターです。
断線修理を試みましたが、どちらも内巻き側のボイスコイルへの導線が断線しているため再結線の導線を引き出せず修理不能、そのまま1年以上放置していたもので、今回、ダイアフラムを購入しましたのでダイアフラム交換で復活させることにしました。
以前、当ブログでもHS-11Dのツイーターの断線修理を行いましたが、それはたまたまボイスコイルから再結線の導線を引き出すことができたので修理できたのであって、この機種のツイーターが修理できるか否かは「運」の要素が強いです。当ブログを見て「修理できそう」と安易に考えて断線したツイーターを入手するのはオススメしません。
断線修理(再結線)につきましては以下の記事を参照してください:
まずは分解。前面の保護ネットはラバーリングで溝に固定されていますが、ラバーリングは溝内に接着されていますので前面保護ネットを引き出します(と同時にラバーリングも外れます)。4本のネジを外せばフレームと磁気ユニットに分離します。分離の際、接着剤を剥がす必要があります。
ダイアフラムはフレーム前面に接着されています。裏面はこんな感じでフレームの厚みを超えてヨークのギャップに挿入できるよう長いボイスコイルボビンになっています。これ、実はかなり特殊なボイスコイルのダイアフラムです。
こちらがAliExpressで購入した汎用のハードドームダイアフラムです。写真のようなケースに格納されて来ますので輸送中に潰れる心配は杞憂でした。
スペックは、チタン振動板、ボイスコイルは8Ωで1インチ径、薄いクロスエッジでダンプ剤が塗られています。+側のリードには赤い印がついてます。お値段は1個500円くらい(しかも送料込み)。安いながらかなりきちんとした上質なダイアフラムです。ちなみに汎用ソフトドームダイアフラムだと300円くらいで、これは以前、Victor S-M5に装着しました。
普通の汎用ダイアフラムなのでLo-Dのツイーターのダイアフラムのようにボイスコイルボビンは長くないです、というかLo-Dのダイアフラムが特殊。このボイスコイルボビンの違いが装着に関しては、かなり厄介な問題なのです。(うぅ画像ボケてるし、もう組み込んだので再撮影できない)。
さて、この汎用ダイアフラム、元のダイアフラムのように単に貼り付ければいいかというと、ダメなんです。
仮組みしてみましたが、やっぱりボイスコイルボビンの長さが全然足りません…
どのようになるか、画像を作ってみました。分かりやすいよう少しデフォルメしています。
※黒い部分がフレームです。
これだとボイスコイルがほんの少ししかヨークに挿入されないので激しく能率が低い上にマトモに音が出ないツイーターになるでしょう。
う〜ん、困った…
というわけで汎用ダイアフラムの装着方法を色々と検討してみました。
まず、フレームの裏面に装着した場合、大抵のドームツイーターはこの方式です。磁気ユニットのフロントプレート側に貼り付けるパターンもあります。
この方式だとボイスコイルは十分にヨークに挿入されます。磁気ユニットのフロントプレートとの接合面はダイアフラムのエッジが極薄いものなので出来ないこともないです。しかし、ドームがフレームに埋没した感じになり、かなり見栄えがよろしくないです(取って着けたようなDIY感が出てカッコ悪いです)。
フレーム無加工では美しい装着は無理と腹を括りましたので「フレームは加工する」前提で考えてみました。
まず、ボイスコイルが十分に突き出すよう、フレーム表側を切削した場合です。
この場合、切削加工自体は容易ですが、ボイスコイルの突き出し量が十分になるまで削り込むとダイアフラムのエッジが乗る部分は1mmくらいの厚みになってしまうので強度に不安が出ます。また表の見た目もイマイチです。
最終案、フレームの裏側をエッジが嵌る部分のみ1mmほど薄く削り込み、表側は自然に見えるよう傾斜を40度の角度で削り込む。どちらの切削加工もある程度の精度を要求される上に面倒臭いデス。
フレーム裏側の接合面の出っ張りの直径は39mm、ダイアフラムのエッジの外周は38mmですので、接合面の出っ張りを0.5mmの縁を残して削り込む形になります。これによりダイアフラムのセンターリングも容易になり、一石二鳥。切削加工が面倒臭いということ以外は全ての問題をクリアするのでこの方式で決定です!
Lo-D HS-33D、ツイーターダイアフラム交換・後編に続きます。
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