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Lo-D HS-11D、ハードドームツイーターの断線修理

2019/04/30 - Lo-D HS-11D, ツイーター修理

※他のツイーター修理の一覧はコチラをクリック

先ごろ「ツイーターが鳴らない」というLo-DのHS-11Dのジャンクを安価で入手しましたので、今回はこのハードドームツイーターの断線修理です。

HS-11Dのツイーターはアルミハードドームです。このツイーターはHS-33DやHS-55Dにも使われているもので、当時のLo-D代表的なツイーターです。HS-11Dは故・長岡鉄男氏が絶賛したモデルなせいか完動品はヤフオクでも割と高値で取引されています。ちなみに過去記事のLo-D HS-1はチタンハードドームツイーターです。

さて、このツイーター、オーディオ全盛期でとてもコストがかかったツイーターですが、断線率が異常に高いのがネックです(なぜ断線率が高いかは後述します)。

では、修理をば…

エンクロージャーから取り外しました。

Lo-D HS-11D(HS-33D)、ハードドームツイーター断線修理その1

最初に前面の保護ネット外しますが、通常は保護ネットを抑える周囲のゴムリングを先に抜くのですが、このゴムリングは接着されているため、この状態から引き出すことはできません。なので、まずは保護ネットの縁を持ち上げて保護ネットを引き抜く感じで取り外します。

保護ネットを取り外した状態です。ドームの周囲にある4つのネジを外すと前面フレームとマグネットが分離するのですが、初めて分解するツイーターの場合、簡単には分離しません。

Lo-D HS-11D(HS-33D)、ハードドームツイーター断線修理その2

なぜ簡単には分離しないかというと、製造時に黄色の点の部分の円周全体に接着剤が塗られて接着されているためです。フレームとマグネットを分離するには、フレームとマグネットの間にマイナスドライバを差し込んでグリっとひねると「パキッ」という音と共に接着剤が剥がれて分離します(その際、マグネットが欠けないよう注意してください)。

Lo-D HS-11D(HS-33D)、ハードドームツイーター断線修理その3

フレームは分厚いアルミで肉抜きしてたりして凝ってますね。
マグネットと分離したらフレーム側は再び保護ネットを装着します。ハードドームなのでダイアフラムを潰すとアウトなので作業は慎重に行います。

殆どの場合、ツイーターの断線は端子〜ボイスコイルまでのどこかです。ボイスコイルの中で切れているのは見たことがないです。このツイーターの場合、ボイスコイルは2重巻きで、幸いなことに上巻き側に入るところで腐食しててすぐに見つかりました。

さて、このツイーターがなぜ断線するかというと、ターミナルからボイスコイルまでの間の殆どは溶剤で空気に触れないようコーティングされているのですが、ターミナルからの導線とボイスコイルを接続している部分のわずか1〜2ミリの部分、ここに腐食防止のコーティングがないのです。ここが湿気や結露で錆びてしまうんですね。

んで、ボイスコイル側の導線をピンセットで慎重に慎重に少し引っ張り上げます(ボイスコイルの下にある白っぽい鼻くそみたいなのが旧接続箇所で腐食部分です)。

Lo-D HS-11D(HS-33D)、ハードドームツイーター断線修理その4

コイルの導線はいわゆるエナメル線なので、そのままでは導通しないし半田付けもできませんので、半田付けする長さをペーパーで磨いて銅無垢にします。

慎重に導入線の部分に半田付けしました、超緊張する作業です。

Lo-D HS-11D(HS-33D)、ハードドームツイーター断線修理その5

上記画像、半田付け部分、分かりますか?
ほんのちょびっと半田付け、しかもボイスコイルボビンを焦がさないよう且つ最小限のハンダでしっかり半田付けします。
ハンダ部分が黒くなっているのは、元々から塗られていたコーティング剤がハンダゴテの熱で焦げたもので、ボイスコイルボビン自体ではないです。このコーティング剤は無理に剥がすと新たな断線を生みかねないので、剥がさなくてよい箇所はそのままです。

半田付け後はテスターで導通をチェックし問題なければ腐食しないよう、瞬間接着剤を修理箇所に薄っすらと塗ってコーティングします。乾いたら分解とは逆の手順で組み立て、フレームとマグネットの間の接着は不要です。

左右両方のツイーターが断線しておりますので、もう一方のツイーターも修理しますが、断線箇所を探したところ、+−の両方のターミナルからの導線とボイスコイルの接続部で腐食していました。

まず、コイル上巻き側を同じように半田付けして修理。

Lo-D HS-11D(HS-33D)、ハードドームツイーター断線修理その6

次に下巻き側へ入る断線の修理ですが、殆どの場合、下巻き側へ入る断線の修理は不可能であることが多いです(半田付けに必要な導線をコイルから引っ張り出せないため)。

精密作業用のルーペーでよく見るとわずか1mmほどボイスコイルへの導線が顔を出していたので、イチかバチか、ここに半田付けします。エナメルを落とすのはデザインナイフ先っぽで慎重に、半田付けは半田ごての先っぽにごく少量のハンダを乗せて一瞬で断線箇所にあてて溶着しました。

Lo-D HS-11D(HS-33D)、ハードドームツイーター断線修理その7

ちょっと焦げてる部分のコイル側0.5mmほどが修理箇所です(焦げているのは表面に塗られているコーテング剤です)。半田付けしくじると何度もリトライできるものではないので、ほぼ一発勝負、超緊張しました!幸い、上手くいきましたので、ここも瞬間接着剤で元患部をコーティングして終了。

Lo-D HS-11D(HS-33D)、ハードドームツイーター断線修理その8

出来上がりのツイーター2本、いやもう神経すり減らす作業でした。
入手したHS-11Dはウーファーセンターキャップの破損(潰れではなく、破れてます)などもありますので、インプレは色々と作業が終わったら、ということで。

ウーファーについての続編記事は以下です:

Lo-D HS-11D、ウーファーセンターキャップ修理とレビュー

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