今回はCORAL末期の名機?迷機?の1983年のDX-7のメンテナンスです。これも購入後に屋根裏倉庫に長らく置いていたものです。なぜNS-1000Mを持ちつつDX-7まで持っているかというと、いつかTechnicsのSB-1000的なものを作ろうとユニットが欲しかったのです。
まずDX-7について。上の画像は白熱電球下で撮った画像やヤニまみれの画像のように見えますがダイアフラムはゴールドでユニットのフレームは全てゴールドアルマイトなのです。
DX-7自体は1983年のモデルですが、同社の1979年のX-VII(たまにX-7という表記があったり)から始まる30cm3ウェイのシリーズでYAMAHA NS-1000Mを強烈に意識したモデルかと。最初のX-VIIは69800円という低価格で見た目とスペックでNS-1000Mを凌駕する内容でしたので(音質については後日の記事で)、発売当時、YAMAHAはかなり焦ったのではなかろうかと。
X-VIIの後、1983年にユニットをにリファインし、見た目もゴールドアルマイト仕上げなどゴージャスな内容で登場したのが今回のDX-7で+10000円の値上がりで79800円です。このDX-7の後にカーボングラファイトコーン化してユニット配置を中心軸配置に変えエンクロージャーのコーナーにRをつけたDX-7/IIという、これまたYAMAHA NS-1000Xのコピーみたいなモデルを出したりしてますが、DX-7/IIはダイアフラムがX-VIIのシルバーに戻ったりなんかして69800円に値下がり、1985〜1986あたりの最末期のCORALはちょっとだけ内容を変えてニューモデルなんてことをやってたりで(X-IIIやX-Vの派生モデルとか)かなり迷走状態だったようです。とはいえ、X-VII〜DX-7〜DX-7/IIのシリーズはかなり売れたようでオークションでも常時出品されてるくらいタマ数が多いです。私見ですが、そんな中でも最もコストがかかっているであろうモデルがDX-7かと思います。
話はそれますが、わたくし予算と置き場所さえ確保できるのであればX-VIIIは非常に欲しいモデルだったりします。探してはいるのですが、そもそも程度のよいものの現存数が少ないようです。
前置きが長くなりましたが、DX-7のメンテナンスです。DX-7がDX-7たる大口径9cmダイアフラムのドームスコーカーから作業です。この大きさのダイアフラムになると、JBL 375やTAD HD-4001のような大型のコンプレッションドライバーの4インチダイアフラムに近い雰囲気っすね。隣にあるのが同社の20cm3ウェイのDX-3Bの6cmドームスコーカーです。
まず前面の保護ネットを外します。保護ネットはラバーのゴムリング枠で抑えられているのですが、だいたいこれらはボンド留めになっています。ここでボンドを溶かすためにいきなりラッカーシンナーなどを保護ネットがハマる溝に注いではいけません。以下、注意です:
・フレームが塗装されている場合、塗装を侵すことがあります
・フレームが樹脂の場合、樹脂を侵すことがあります
・留めゴム自体がシンナーで変質変形することがあります
ですので、まずはラッカーなど使わずに保護ネットだけが持ち上がるかトライします。トライの方法は網目の菱形の箇所(画像の青丸の箇所)にハサミなどを噛ませてゆっくり持ち上げます。だいたいの場合、ボンドは使われていますが保護ネット自体がボンドでガッツリ接着されていることは稀です。赤丸の四角の網目部分は網目が変形しますので持ち上げるのに適切でないです。持ち上げる際はテコの原理でジワジワと持ち上げますが、その際に枕木として割り箸や爪楊枝などを使うとフレームに傷がつきません。
持ち上げる際に網目の変形を見つつ場所を変えつつジワジワいきます。
網目が変形した場合、爪楊枝などで補正すればよいのでそれほど神経質になる必要はないですが、いきなり「グイっ」とやってはいけません。最初は「持ち上がるの?」って感じですが、一旦、持ち上がり始めると場所を変えつつ持ち上げるとこんなふうに持ち上がりますので、あとは手で持ち上げればOK。
保護ネットだけ外した後、留めゴムリングが溝にボンドでくっついて残っていますのでラッカーでゴムが変形しないか見極めて、ラッカーでボンドを溶かしてゴムも抜きます。
無事、外せました!
すごい埃です。幸いヤニや焼肉油系統の汚れではなさそうです。普段はサランネットを常着していたと思われますが、おそらく40年間全く掃除していない状態かと。
イコライザー部(前面のバンパーのようなもの、音を拡散させます)はさておき、ダイアフラムには薄っすらと埃が乗っているだけのように見えますが、微細な埃が湿気でコーティングされている状態で光沢がありません。ハードドームは薄く硬く軽くを目標に作られているものですので埃コーティングはネガティブ要素となりますのでクリーニングする必要があります。ハードドームのダイアフラムのクリーニングの方法は綿棒にガラスクリーナーを染み込ませて凹ませないよう優しく優しく優しく優しく根気よく拭きあげます。ダイアフラムを凹ませるとアウトです!
ダイアフラムのクリーニングのためには前面のイコライザーを外せば容易になりそうですが….
これを外すにはダイアフラムからターミナルに繋がるリード線を抜く必要があるため無理ですね。ターミナル側はハンダですがこの白いコーキング剤的なものがラッカー系シンナーでは溶けません(もしかするともっと時間を置くと溶けたのかも)。
というかココは「純アルミリボン線を無酸素銅の被膜」なのでハンダを外すと再ハンダも非常に厄介なので何もしなほうがよいですな
そんなわけでこのままの状態で綿棒で根気よくダイアフラムとイコライザーを拭き拭きしました。ダイアフラムに染み付いてる埃コーティングが頑固で3時間くらいかかったっす。それでもなんとかクリーニング完了です。画像では伝わりにくいかもしれませんがダイアフラムの光沢感は新品の輝きです、わかりますでしょうか?
とりあえず、もう片方も同じ作業を行い休日の半分が潰れてしまったという。ついでに30cm3ウェイくらいのスピーカーが部屋に2本横たわっているとすっごく邪魔です(笑)。早く作業を終わらせたい!
ONKYO M77のレストア記事、第2回目です。
前回の記事は以下になります:
前回、ウーファーの古いエッジの残骸を除去、フレームを再塗装したりで新エッジを貼る直前の状態まで作業は済んでいます。
今回のM77はネットでのインプレを見ると少しブーミーな味付けのスピーカーのようで、そんなこんなでコシの強目のエッジがいいかと思いまして、コーンとフレームを採寸の上で市販のラバーをエッジを入手済みです。
いつもは自作エッジですが、作らないで済むならそれに越したことはないわけで…最外周がちと大きいので最外周のみミミカットしました(右側がそうです)。
ところがですよ!
合わせてみたところ、このエッジは使えませんでした!
エッジ内周側にリブが付いていて、コーン下面に貼るとコーンが浮いてるような感じになってしまいます。
エッジをコーンに上貼りするなら使えますが、元々が上貼りエッジのユニットではないのでそれは気が進まない。どうしても上貼りできずにやむなく下貼りすることはあっても、逆はこれまで経験ないです。
このエッジが流用できそうなユニットは手持ちにありませんし、外周ミミカットしてしまったので売却もできずにゴミ箱行きです。ま、AliExpressで安かったのでいいんだけど…
というわけで、結局、エッジを作ることになりました(笑)
少し厚手の綿布でやや硬めのエッジを目標に作りました。
貼ってみて固すぎる場合は剥がして作り直せばいいわけで(ラッカーで容易に剥がせてリカバリー可能なのがボンド1521Bを使う理由の一つだったりします)。
そんなわけでウーファーの出来上がり!
作成したエッジはわざと布目が出るよう仕上げましたので遠目にはウレタンエッジぽい感じに見えます。
コーンの汚れ(カビを除去した跡)はそのままです。全体が激しく退色している場合は着色も検討しますが、手を加えないで済むならそのままです。気が向いたら着色するかもしれませんが…
ところでこのウーファー、フレーム外観は黒塗装ですが、とても分厚いアルミフレームでかなり強靭な造りになっています。フレームのアームは珍しい3本スパイダーになってたり、凝ったウーファーです。
このスピーカー、もう1つ気になっていたところがあって、それはアッテネーター。
5ポジションのクリックになっているのですが、HighとMidで微妙にズレてて中央値に合わせると妙な見た目になります。元々そういうものかと思いましたがLR比べてもクリック位置がズレていますので、使っているうちにアッテネーター自体が供回りしたのでしょう。
アッテネーターを緩めて再締め込みを行うには前面パネルを剥がさないと工具が全く入りませんのでパネルを剥がしますが…
パネルは両面テープで留められていて隙間からパーツクリーナーを吹き入れて両面テープを緩めて剥がしますが、これが物凄く強力なテープで且つ中央部にカシメ挿入ダボでハマっていて剥がすのに2時間ほど。中央のカシメ挿入ダボは打ち込んであるらしく、絶対に無傷では抜けませんのでダボを切り離しました。
再装着するのですが、アッテネーターの装着部の穴はアッテネーターを装着するプラ部品がハマる構造になっていて、ここの密閉が甘いと後々問題になりそうなのでラバーでパッキンを作って貼りました。
プラ部品はパッキン内壁にかなりの力で押し込むような感じになりますので密閉は完璧です!
アッテネーターはファストン端子接続に変更、アッテネーターの装着のプラ部品は当初はネジ留めする設計だったのかネジ穴がありましたのでネジ留めにしています。
これで問題らしき箇所はすべて対処、あとは組み立てて音出しですね!
続きは以下の記事になります:
・CORAL DX-7、メンテナンスその2
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CORAL DX-7、メンテナンスその2
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CORAL DX-7、詳細レポート
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