再開のアナウンスから2ヶ月も経ってしまった。
一度失した更新作業の手順とペースを取り戻すのがなかなか難しいなぁと思いつつ怒涛の年末仕事が入ってしまった。
ってことで本当に久々の更新はブログ休止中に行ったPIONEER S-X4Gのツイーターの断線修理です。
入手時に「片方のツイーターが鳴りません」ってジャンクを破格値で購入し、修理しようと思っていたのですが屋根裏倉庫に置きっ放しでありました。このスピーカーのツイーターが断線するのはあまり事例が少ない、というか見たり聞いたりしたことがないのでかなり稀な症状かと思います。
S-X4Gは1979〜1980頃の製品でオーディオ全盛期の物量投入された古い良き時代のスピーカー。エンクロージャーがグレー仕上げなのがS-X4G、木目仕上げがS-X4で、サランネットのエンブレムもわざわざ「S-X4G」「S-X4」の異なるエンブレムになってます。
まずツイーターを取り外し、端子を外します。
端子はプッシュワッシャーとボンドで留まっていますのでラッカーシンナーでボンドを溶かしてプッシュワッシャーをラジオペンチやマイナスドライバーを駆使して取り除きます。
次に保護ネットの留めゴム周りにラッカーシンナーを浸してしばらく置いてから保護ネットをグイっと持ち上げて留めゴムごと外します。先に端子を外したのは保護ネットを外してしまうとツイーターをうつ伏せにした状態での作業が困難なためです。
前面フレーム、ダイアフラム、磁気ユニットの状態まで分解します。
初めて分解する場合、ダイアフラムが前面フレーム側に付いているのか、磁気ユニット側についているのか分からないため、前面フレームの4本のネジを外していきなりフレームと磁気ユニットを引き剥がしてはいけません。ダイアフラムの取り付け方によっては引き剥がした勢いで新たな断線を生じさせてしまうためです。
ネジ穴にナット&ワッシャーを取り付けた長めのネジを挿入し、ナットを締め込むごとにフレームを浮かせる感じでゆっくりと引き剥がしていきます。割と緊張の作業…
分解できました。
ダイアフラムはフレーム側への取り付けですが、製造時にはみ出した接着剤のせいで磁気ユニット側に張り付いていました。
断線箇所は端子につながる極細線が腐食していたことによるものでしたので修理は容易です。ボイスコイルへの導入部だと厄介だなぁと思ってたのでラッキーっす。
赤黒のラインが修理箇所です。片方は断線していませんでしたがモノのついでで同じ対策を施しました。
分解ついでにフレームがアルミ腐食やヤニで汚いので旋盤で回して研磨します。
右が研磨後です、画像では研磨後の質感が伝わりにくいですがピッカピカです!バフがけして鏡面仕上げにしてもよかったのですが、鏡面仕上げは後々鏡面を維持するのが面倒臭いので単なる研磨でOK。
組み立てます。
信号線の露出部分は腐食しないよう瞬着でコーティングしていますが、万一、露出箇所がフレームに触れてショートしないよう養生して組み立てます。作業中、うつ伏せでダイアフラムが潰れないよう木片台にマスキングテープで固定しています。
はめ込むだけでボイスコイルのセンターが出るのでとても組み立て安いです。
最後に保護ネット&留めゴムを取り付け、5kHz程度の正弦波を再生してレベル差などをチェックしてツイーター完成です。
エンクロージャーに組み込む前、ウーファーのフレームにも腐食がありましたのでサンドペーパーでヘアライン磨きしてみました。銘板なども磨いてなかなか綺麗な状態です。
ウーファーも再染色した方が良かったかなぁと後ろ髪を引かれつつも、ウーファーはまた別の機会ということにして、パイオニア・S-X-4G完成です。
休眠が長かったので40Hzとか80Hzの正弦波を2時間ほど鳴らしっぱなしにして柔軟体操した後、再生チェックしてみました。明瞭でNS-10Mに近い感じですが、高域のレンジの広さはS-X4Gの方が一枚上手ですね。低域もベースやバスドラムのキレなんかはとてもいい感じ、ただしこの時代のスピーカー全般に言えることですが、本領発揮はある程度の音量でないと線が細い感じですね。
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