AIWA SC-E80のレストア・その4です。
以下の記事の続きです:
・AIWA SC-E80、レストア作業・その1
・AIWA SC-E80、レストア作業・その2
・AIWA SC-E80、レストア作業・その3
前回はスコーカーとツイーターのレストアというか整備を行っていました。
今回はネットワークを紹介したり、サランネットを張り替えたりして完成までいきます。
1.アッテネーターの取り外し
2.ネットワークとエンクロージャー
3.サランネット張り替え
4.組み立て〜完成
アッテネーターにガリらしき接触不良があるので取り外します。
画像のように12mmのロングソケットで取り外すのですが、穴には化粧リングが接着で嵌っているので普通のロングソケットでは穴に差し込めません。実はこのソケット、旋盤で超薄肉に加工したスペシャルソケットです。
ウチでは4輪2輪の整備用にKTCの工具で揃えているのですが、さすがにKTCのソケットを削るのは勿体無いのでアストロで買って来たソケットです。確か300円くらいだったかな、安価ながらきちんとしたモノです。
取り外したアッテネーターです。ガリと思っていたのはガリではなく、アッテネータを留めるナットが緩んでいて、ノブを回す→アッテネーターごと回る→アッテネーターへの配線が引っ張られて切れそうになってた、というわけで配線を全てファストン端子でやり直しました。
回してみたところ、アッテネーター自体には特にガリもなく良好な状態でした。アッテネーターの分解&掃除&組み立ては割と面倒な作業(4つもあるし)なのでホっとしたっす。
次にネットワークを取り外しました。
使用パーツの数値からクロスオーバーは1kHz, 5kHzあたりかと思われます。
ネットワークの電解コンは大丈夫そうです。これまで多数のスピーカーのネットワークを見て来ましたが、ネットワークの電解コンが逝ってるのを見たのはかなり稀です。きっと一般家庭ユースでスピーカーに流れる程度の電圧電流では電解コンにダメージを与えるのは難しいのでしょう(たぶん)。
エンクロージャーはパーチクルボード製、吸音材はフエルト製のものが丁寧に内壁に貼られています。
古いパーチクルボードなので端々が浮いてきたりするのは致し方ないところですね。これを修理するにはクロスを全て剥がし、前面の化粧プレートも剥がして、電気カンナとサンダーを駆使してすべて面出しをやり直すしかないです。さすがにそこまでの労力は…
このSC-E80、ユニットもキレイになって、エンクロージャー外観はかなりの使用感があってお世辞にもキレイとは言い難い状態だったのですが、掃除とタッチアップで幾分は見れるようになりました。最後の修復箇所はサランネットです。
かなり穴だらけで目立つため、スピーカー自体のボロさに拍車をかける有様です。
こういう状態ですので張り替えることにしました。
このスピーカーのサランネットは単にフレームにネットを張っているだけではなく、さらに外枠までついた凝ったものになっています。分解するとこういうフレーム構成になっています。
今回、サランネットを張り替えようと思ったのはネット自体がタッカー留めになっているというのも理由の一つです。接着留めのサランネットは張り替えが結構面倒臭いんですよね。タッカー留めの場合は針を抜くだけでキレイにネットが取れるので作業は容易です。
タッカーの針を抜くのはマイナスドライバーで針を浮かすのではなく、こういう専用のツールを使います。
マイナスドライバーでは余計な傷をつけてしまう可能性と打ち込まれた針の数が多数なので途中でイヤになります。この専用工具(タッカー針リムーバーって名前だろうか?)でこういうふうに針をある程度浮かせてラジオペンチで一つずつ抜き取ります。
これが抜いた古い針、フレームに刺さっていた足の部分は錆びているので、あまり乱暴に抜くと針が切れて針の足だけフレーム側に残ってしまうので要注意ですね。
新しいネットをタッカーで留めていきます。打ち込みを一列に揃えるのはなかなか難しいです。サランネットの生地は以前まとめ買いしていたもので、薄手で且つ緻密で丈夫、透け具合もかっこいい上質な生地です(正直、かなり高かった)。
というわけでは張り替え完了!
外枠に擦れ傷などがありますが、サランネットだけ見るとまるで新品のようです、って新品の生地に張り替えたので当然か…
少し残念なのはAIWAのエンブレムが安っぽいこと。SC-61やSC-51のエンブレムは金属製でかっこいいのですが、これは樹脂製なんですよね。なぜここだけ安っぽくしたのか問い詰めたい>当時のAIWA
最終組み立てでエンクロージャーにユニットを取り付ければ完成ですが、ユニットの取り付けネジは目立った錆びこそないものの、かなり煤けて見た目もよくないので、ここはいっそステンレス製のネジに全交換します。
ツイーター用はM3、スコーカーとウーファーはM4で長さは全て30mmです。この時代のAIWAスピーカーの特徴としてユニット留めのネジが細いこと。普通ならウーファーはM5かM6、スコーカーやツイーターはM4だと思います。SC-61のレストア時も同様に細かったです、ウーファーとかM3だったような…見るからに細いネジというのが分かるかと。
というわけでユニットを取り付けて完成です>SC-E80
いやぁ、カッコいいスピーカーだな、と。惜しいのは左右対称でないこと。左右対称でないデザインのスピーカーはこの時代まで割と普通に存在していました。
ネジもキレイ、エッジもふんわり感があるパっと見は元のウレタンっぽい感じで仕上げています(自画自賛)
張り替えたサランネットをはめるとこんな感じです、透け具合がかっこよろしい!
以上でAIWA SC-E80のレストアは完了です。
後日、音出し空気録音を収録してYouTubeにアップいたします。
音質のキャラクターとしては高解像で明るい音質です、乞うご期待!
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