Aurex SS-S12Wの空気録音をするにあたり、ついでにいくつか同時に収録しようと、その中にTechnics・SB-F1を含めますので少し整備。振り返るとSB-F1は入手時の記事のみで紹介が薄いので画像も撮影、同時期の類似モデルであるSB-X01との比較を交えて内部紹介します。
まず分解ですが、裏面からのネジ1本だけで完結しているシンプルな作り、そのネジを外すとこのように分解できます。
ユニットに接続するケーブル類は割と短め、いきなり引き剝さずに注意しつつ分離します。
こんな感じでバッフル部とキャビネットが分離します。
実にシンプルです。
同時期のテクニクスのカセットデッキを分解したときにも感じましたが、この時代のテクニクス製品の構造や部品構成は無駄や迷いがなく、良く言えば大量生産の工業製品のお手本、悪く言えば分解してて面白味がないというか。
ウーファーを取り外しました。
ウーファーが前面グリルネットがスポンジシートを介して接着されており、これ以上の分解は接着剤の剥離を行わないと無理、今回は軽く整備ですのでこのまま。薄っすらと凸タイプのエッジとボイスコイルへの導入線が見えます。
SB-X01は凹エッジでボイスコイルへの導入線はコーン側にはありません。以下がSB-X01のウーファーです(サイズは同じ10cm)
SB-F1のマグネット側です。マグネットサイズはSB-X01と同じですが、フレームも基本的に同じですが、外観デザインの都合上、外周枠部分の形状が異なります。
SB-X01のウーファーです。
バックプレートも異なります
今だと同じユニットでお茶を濁すところ、安易に同じユニットを流用していないところがオーディオ最盛期のなせる技ですね。
ウーファーとバッフルはこのようなネジで留まっています。おそらく空気漏れに配慮したものと思われます。
バッフルとウーファーはペーパーガスケットとスポンジで密閉維持、スポンジは触るとヤバいです(汗)。エンクロージャー側に残ったスポンジもそのままにしています。
グリルの目をスポンジで埋めることで密閉度を維持しているのでしょう。おそらく密閉度はいまひとつだと思います。ここをゴム系のコーキング剤で埋めると密閉度が増して音質も変わると思いますが、復帰できない改造は必要がない限り行わないのポリシーですので、今回はそのような改造はパス!
次はツイーターです。
ウーファー同様にグリルネットが接着されています。
このツイーターの形式の名目はホーンツイーターですが、ハードドームツイーター+ショートホーンという構成。ドライバーであるドームユニットを奥に配置することでリニアフェイズを実現しています。
参考までにSB-X01のツイーターはこうなってます、ほぼ同じ構成です(パーツ番号は異なります)。
この形式のツイーターは当時のテクニクスのお気に入りなようで色んな機種で採用されています。リニアフェイズには都合がよくかつ能率もコントロールしやすかったのでしょうね。音質は構成や見た目に反して刺さるような感じはなく、割と滑らかです。
エンクロージャーはアルミダイキャスト、いかにも量産品然として潔い造形です。
ゴムパッキンは硬化や縮みもなく、状態は良好です。
キャビネット側です。肉厚は一般的な鈍器系と比べるとやや薄め、持った感じもズッシリという感じはありません。かといってスカっと軽い、ということもないです。
吸音材は競合機に比べると少なめ、テキトーな感じはなく、これで十分と思わせるのがテクニクス(笑)
最後にネットワークです。
ローパス側はコイルのみ、ハイパス側はコンデンサ&コイルの12dB/octになっています。クロスーオーバーは4kHzです。
一方、こちらはSB-X01のネットワーク、ウーファー/ツイーター共にコンデンサ&コイルの12dB/octでクロスオーバーは4.5kHzです。
SB-F1とSB-X01、同時期に販売されてた10cm 2ウェイスピーカーですが、細々とした違いから当時は1機種毎に丁寧に設計されていたことをうかがわせます。今だと箱だけ変えて同じ部品で作っちゃうんでしょうね。
SB-F1の空気録音、SS-S12Wと同時に収録しますので、次回記事はそのどちらかの空気録音レポートかと思います。
続きは以下の記事です:
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