1979年頃のサンスイの小型アルミ筐体のスピーカー・J11です。
このサンスイ・J11、記事化するにあたって鈍器系カテゴリーにするか否か少し悩みました。
というのもアルミ筐体なのですが、鈍器のようにズッシリ重いかというと、そうでもないのです。でもまぁアルミ筐体で10cmベースで鈍器系っぽいので鈍器系カテゴリーにしました!
これからレストアしようとするJ11、エンクロージャーのバッフルの接着留めが剥がれ、既にこんなことになってます。
状態を調べようとユニットを外していたら「パリッ」とバッフルが剥がれました。ゴム系の接着剤で組み立てられているのですが、経年劣化で接着剤が硬化しすぎていたようです。これがレストア前に全体写真が取れなかった原因っす。
再組み立ては(ドロンコーンなので密閉度に留意しつつ)接着すればよいので問題なし。エンクロージャー自体はアルミ板を箱状に曲げ、前後にバッフルを接着という構造で通常の鈍器系スピーカーのような鋳造の厚みのあるエンクロージャーではないです。
レストア前に撮った全体写真がありませんのでカタログ画像をば…
全体像はこんな感じ
このサイズでドロンコーン式はなかなか珍しいです。
1979年はサンスイも乗りに乗ってた時期でアンプ・AU-Dx07シリーズは売れまくるわ、シスコンも黒のAZシリーズからホワイト&シルバー基調のTARGETシリーズに。単品スピーカーとしてホワイトコーンのこのJ11と20cm 2ウェイのJ33が発売された時期でした。
取り外したユニットを順に見て行きましょう。
まずウーファー、10cmのホワイトコーンのウーファーです。エッジは崩壊してありません。
せっかくのホワイトコーンなのに汚れている上に黒カビまで生えて汚い…
ツイーターです。
この手のスピーカーで最も懸念されることはツイーターの断線ですが、幸いにして断線はなかったです。
「汚れてるなぁ」とか思いながらシゲシゲと眺めてて気がつきました!
このダイアフラムに斜めに入る導線とダイアフラムへの凹にワッシャーがハミ出たプラスネジはつい最近見た覚えがあるっす!
このツイーター、DIATONE MS07のツイーターやFOSTEX GX10のツイーターと同じフォーマットです。
ちょっと確認してみましょう。
これがFOSTEX GX10のツイーター
そしてこれがDIATONE MS07のツイーター
同じフォーマットですねぇ。ダイアフラムの感じから、おそらくFOSTEX GX10のツイーターとほぼ同一品と思われます。サンスイがスピーカーユニットを内製する工場を持ってたとは思えないので、おそらくFOSTEX(もしくは三菱電機)に製造依頼でもしていたのでしょう。おそらくウーファーユニットの製造も外注かと思います。
ウーファーのエッジを直さないことには音も出せませんのでウーファーのエッジ修理から。
このウーファーは10cmにしてはややロールが大きくドンピシャに合う既製品のラバーエッジが見つかりませんでしたので自作エッジでいきます。
10cmウーファー用エッジですので、かなり柔らかめに作ります(薄めた液体ゴム1回塗り程度)。
せっかくなのでホワイトコーンも真っ白にしたいところ。
まず、薄めた漂白剤を塗ってある程度、白さを戻します。
その後で白の着色剤を塗ります。
そうすることで少ない着色剤で白さが戻る、と。薄く軽量なコーンが特徴なのであまり塗料を乗せることができないので慎重を要する作業です。
白の着色剤は某スピーカー修理用品屋さんで買ったものですが、これって匂いといい希釈して塗った感じといい、私がとても慣れ親しんでいる百数十円のあの塗料っぽいんですが…
ま、いいや(笑)
着色剤を塗った後、エッジを装着する際に小口径ユニットはコーンがフレームについたままだと全く接着剤をハミ出さずに接着するのは非常に難しいっす。なのでダンパーの接着剤をラッカーで溶解してコーン部をフレームからゴソっと取り外します。
失敗が許されない接着なので、いっそコーン部を外した方がよい、との判断です。黒のコーンだとわずかにハミ出ても目立ちませんが、ホワイトコーンは僅かな接着剤のハミ出しも許されないっす。
ついでにボイスコイルやマグネットまわりのチェックもできますし。
これでエッジをキレイに貼れます。
合体!
このまま慎重にフレームに乗せ、センターリング位置を探ってエッジをクリップで固定。その状態でコーン&ダンパーを持ち上げて接着。その後にエッジを接着という方法でフレームに接着しました。
(手の開かない作業なので画像を撮るのを忘れてたっす)
ウーファーの修理完了です。
次回後編は以下のツイーターのメンテナンスと組み立てであります!
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