とあるスピーカーのエッジ修復作業のついでに自作エッジと市販エッジの違いについて常々感じることがありましたので、記事にしとこうと。
まず自作エッジを使う理由は大きく2つ
・適正なサイズの市販エッジがない
・市販エッジが硬くて使えない
ですが、今回は後者について。
前者の適正なサイズについては、eBayやAliExpressを探せばだいたい存在します。XXインチ用とあっても、このような感じでミリ単位で微妙なサイズ違いが豊富に売ってます(リンクは一例でホントに色んなサイズがあります)。
日本国内で売ってるものもeBayやAliExpressで売ってるものもだいたい同じでしょう。存在するサイズのラインナップも同じだし、注文すると同じような成形のものが届きますので(というか同じものだよなぁ)、地球上でスピーカーエッジを製造してるところはそんなに多くないのだろうな、と思います。
んで、ワタクシ、スピーカーのエッジの修復では自作エッジと市販エッジの使用割合でいくと自作エッジの方が圧倒的に多いです。12cm〜20cmあたりの市販エッジは厚くて硬くてイマヒトツなものが多いのです、特にウレタンエッジ。
今回、それがどれほど硬いのかを検証してみたいと思います。
比較サンプルは8インチ用エッジ(20cmユニットのエッジ)、これくらいのサイズが分かりやすいです。
※特に選別したエッジではなく、ごく普通に市販してて入手できるものです
パっと見て触って十分に柔らかくてイイ感じです。
これを触って「硬い」と感じる人は殆どいないでしょう、しかし実際に比べて見ると…
まずラバーエッジです
ちょっと凹みます。
次にウレタンエッジです
微妙な差に見えますが、ウレタンエッジって全く凹まないくらいコシがあります。
触ると確かに柔らかいんですが…
ラバーエッジの方はそこそこ使える柔らかさなのです。ウレタンエッジの方を使うと「ん?なんか低音が薄っぺらだな」と感じる音になることが殆どです、コシが強すぎるんです。スピーカーのカタログなんかを見ると、メーカーがいかにスピーカーエッジの硬さやしなやかさにこだわっているかが垣間見れると思いますが、エッジの硬さはfo(最低共振周波数)に大きく影響します。
実際に触ると両者とも柔らかいことは柔らかいのですが、20cm程度のユニットのエッジはもっと柔らかくあるべきなのです。コシの強いウレタンエッジの場合、エージングでは緩くなる感じはないので厄介です。
余談ですが、元々から硬いエッジのスピーカーユニットはまた別。
メーカーではエッジの硬さは振動板の重量や材質、ダンパーの硬さ、求める特性などで決めてると思いますが、普通の20cmウーファーユニットで上記のウレタンエッジほど硬いのは遭遇したことがことがないです。大入力大音量が前提のPA用のユニットにはかなり硬いコーン&エッジ&ダンパーの組み合わせなどあります。
ネット上で「硬いダンパーには柔らかいエッジ・柔らかいダンパーには硬いエッジ」等の主張も散見されますが、一概にそうではないです。アコースティックエアサスペンション前提の密閉箱に入れるユニットなんて、エッジもダンパーもユルユルに柔らかいのが多いです。
エッジ交換をするユニットは元がウレタンエッジのものが殆どだと思いますが、元々のウレタンエッジは押すとフワっと凹む感じでかなり柔らかいです(触るとフニュっと凹んで気持ち良いです)。見た目ももう少し荒いスポンジでこれほどツルンとするほど目も詰まっていないです。
市販ウレタンエッジの硬さについては、特に12cm〜20cmあたりのサイズで顕著な感じです。
10cm程度の小口径の市販ウレタンエッジは薄く柔らかいものが多く問題なし、25cmを超える大口径になるとそこそこコシがあっても問題なしとなります。最も使用機会が多いであろう12cm〜20cmあたりのウレタンエッジ、厳しいです。
参考までにクロスエッジになりますが、メーカーの元々のユニットのエッジがどれほどの硬さなのかというと…
まず、YAMAHA・NS-451(20cmウーファー・バスレフ)のユニットのクロスエッジ
だいたい市販ラバーエッジと同じくらいの柔らかさです。
元々のエッジとしてはやや硬めの部類になります。
次にOTTO・SX-C950(20cmウーファー・バスレフ)
こちらはかなり柔らかくヘナヘナに見えますが、これが割と平均的なエッジの柔らかさです。20cmウーファーのコーンを支えるにはこれくらいで十分ってところでしょう。硬そうな印象のダイアトーンのクロスエッジなんかもきちんとメンテするとこれと同じくらいの柔らかさになります。たぶん触ると「え、こんなに柔らかくて大丈夫なの?」ってくらい柔らかいです。
つぎに16cmくらいのユニットのエッジがどれくらい柔らかくあるべきというと…
なんのユニットのエッジか失念、確かビクターの何かの16cmウーファーです。
触るとペナペナのヘロヘロですが、16cmのコーンであればこれくらいで十分ということです。
ちなみに自作エッジ(18cmウーファー用に作成)がどれくらい柔らかいかというと、これくらい
触るとフンワリしてます。
自作クロスエッジは布の厚さ、塗布する液ゴムの濃度や量で自在に硬さを調整できるのも利点です。3セットくらい作れば調整のコツも掴めると思います。
たまにオークションなんかでヘッタクソな自作エッジに張り替えられた失敗スピーカーを見かけますが、自作エッジは一発勝負ではなく、納得いくまで何回も作り直し(材料を揃えてしまえば1セット分の材料代なんて安いものです)、「これだ」と思うものが出来たら張り替えるようにすれば失敗もないです。
こちらの記事も合わせて読んでいただければ…
スピーカーの自作エッジの作り方・永久保存・詳細版
〜 関連記事 & おすすめ記事 〜
|
||
スピーカーの自作エッジの作り方・永久保存・詳細版
|
TRIO LS-10、レストア作業・自作エッジで修復
|
バックロードホーン・1号機〜3/3
|
バックロードホーン・1号機〜1/3
|
バックロードホーン・1号機〜2/3
|
YAMAHA JA-4201、マグネットずれの修理
|