ビクターのS-M5のツイーター修理で大問題発生で頓挫中なので、閑話休題的なネタです。
最近入手したマランツのLS-10Sという樹脂エンクロージャーの10cmフルレンジスピーカーです。
見た目や造りからして、吊り下げ対応の、どちらかというと小規模SR向けスピーカーであります。
実はこのスピーカー、下記のメーカーのモデルは全てほぼ同じものなのです。
DIATONE DS-105 (1984年・39,800円・防磁)
DIATONE DS-107V (1986年・39,800円・防磁)
DIATONE DS-109 (1987年・33,800円)
Marantz LS-10S (1993年・38,800円)
Marantz LS-10V (1988年・40,000円)
Marantz LS-30V (1988年・50,000円)
Clarion MS-2100A (????年・????円)
Clarion MS-2200A (????年・????円)
ALPINE/LUXMAN S-102 (1985年・40,000円)
Toshiba SX-101 (????年・????円)
SHARP AN-SP100 (????年・????円)
BMB CS-M10V (????年・????円)
他にもあるかもしれません、意外とイイお値段がするスピーカーです。
正確に表現するならば、これらのスピーカーは防磁/非防磁の違いはあれど全て同じユニットと同じエンクロージャーなのです(Marantz LS-10Vと30Vのみエンクロージャーがちょっと違う、さらに30Vは同軸2ウェイ)。DIATONE, Marantz, LUXMANあたりは当然ながらオーディオ用途としての販売ですが、クラリオン, BMB, シャープ, 東芝などはカラオケ用や店舗用としての販売のようです。クラリオンなんかはカー用途にもOKと謳っておりました。
この内、最も発売が古いものはダイヤトーンのDS-105ですので、オリジナル(というか供給元)はダイヤトーンでほぼ間違いないと思うのですが、いかがでしょ?
※ワタクシ、これらを勝手に「DS-105系」と読んでます。鈍器系みたいな感じですね。
さて、本機の背面はこのようになっておりまして、
上半分のブランクの箇所にメーカーロゴが入るようになっています。
例えば入手したばかりのBMBだとこんな感じ、
他社のものはこのようになっています。
マランツが素っ気ないっす。
ロゴを入れやすいあたり、元からOEM供給が前提のエンクロージャーなのか、たまたまOEM供給に適したエンクロージャーなのか、謎は深まるっす。多分、後者と思うけど。
さて、このスピーカー、10cmフルレンジなのに20000円弱/本と結構イイお値段がします。その理由はユニットにあってですね。これがかなり立派なユニットなのですよ。
ゴツいアルミダイキャストフレームです。フレームやアームの部分は肉抜き加工などされておらず見たまんまの厚さ太さの無垢材です。各部の肉厚っぷりは、FOSTEXのFW100(こちらに詳細記事があります)、コーラルの4A-70、パイオニアのPE-101を凌駕するほどで、高耐入力&ヘビーデューティーな逸品です。
ずっしり重いフレームに大きめのマグネット、エッジはクロスエッジです。今どきのメーカー製完成品スピーカーでこんなコストのかかったユニットを使ってるスピーカーはなかなか見かけません(自作向けのユニットにはあります)、あればかなりのお値段になりそうです。このユニットの入手を目当に前述の各社DS-105系モデルをゲットする人も多いので(ワタクシもその1人です)、オークションでの引き合いは割と活発です。といっても運がよければ1000円台で入手できますが…
ただし、このユニット単体で入手しても意味がありません。
ユニット単体ではスコーカーを素で鳴らしたらようなペコペコ音しか出ません!
理由は後述。
エンクロージャー内部は、吸音材(グラスウールをプラウールで包んでて丁寧)の量は普通、吸音材を取り除くとインピーダンス補正と思しき回路が入っています。
ちなみにユニットのインピーダンスは4Ωですが、スピーカーとしてのインピーダンスは6Ωです。
エンクロージャーは樹脂ながら(ABS樹脂と思う)、こちらも分厚くゴツいせいで、持った感じレジン系と勘違いするほどです。スピーカー自体、スカっと軽くはなく、ズッシリ重いです。
音質の方はというと、そもそもが高いレベルを期待するようなものではないですが、安っぽい見た目に反して低域から高域まで万遍なく出る澄み切った系の解像度の高い音質です。小音量からかなりの大音量まで歪み感もなくソツなくこなします。SADEやKate Bushのような女性ボーカルものは際立って良いです。中〜高域がエネルギッシュに出るのでロック系は少しやかましく感じるかも。各社がこぞって採用したのも分かる気がします。
一方、音質的に優秀なユニットだと思いきや、このインピーダンスの補正回路を取り去るとハイ上がりのペコペコ音になります、スコーカーを単品で鳴らしてるような感じですね。なので、このユニット(というかこのユニットとこの箱の組み合わせ)に関しては、このインピーダンスの補正回路による音質補正が大きいですね。
ワタクシ、ダイヤトーンのDS-103(フルレンジ+パッシブラジエータ)も持っていますが、こちらはガラっとキャラクターが異なり、中〜低域の量感豊かな味付けでDS-105とは異なる性格です。これはこれでかなり良いので、こちらも近い内レポします。
音質は色々とチューニングのしがいもありそうだし、1組みは常用に確保して、自作のユニット採取用にもう1ペア買おうかと…
→その後、すぐにBMB DS-M10Vをゲットしました〜
〜 関連記事 & おすすめ記事 〜
|
||
SONY SS-X100、レストア・その1
|
TASCAM iM2、MacにUSB接続
|
KENWOOD LS-1001、良音化計画・その2
|
Marantz LS-30V、 試聴動画をアップしました〜
|
DIATONE DS-161、マイナー機種のレストアその1
|
DENON SC-7.5、GBホーンの再塗装とレビュー
|
「Marantz LS-10S、これはダイヤトーン製?」への2件のフィードバック
楽しく参考に読ませていただきました ありがとうございます。 マランツLS-10Vをヤフオクで入手しました 中に入っている再生周波数補正コイルは空芯の極太コイル コンデンサーは上物です スピーカーは6Ωでもう一段マグネットが有るような厚み 防磁のカバーが被せて有ります もう少し低域が欲しかったので倍くらいのリアクタンス空芯コイルと並列に(30㎌+直列に4Ω)を既存の回路に直列に入れました 中高の能率は3dbくらい低下しました ムード演歌もOKになりました
コメント、ありがとうございます。そのようなアプローチがあるのですね、参考になります。ワタクシはLS-10Vのユニットの在庫はもう2組ありますので、そのうち1組を以前、FOSTEX FW100のリコーンで使用した汎用のウーファーコーンにリコーンして、純粋にウーファーとして作り変えてみようと計画しております。