Aurex SS-S12Wのレストアの続きです。
前回の記事は以下です:
前回の記事では硬化したダンプ材でエッジがどのようにダメージを受けたか〜古いエッジの除去まで。今回はダメージを負ったウーファーのエッジの修復です。
コーンやフレームガスケットのサイズをノギスで計測してエッジ制作用の台紙にコンパスで描きます。
サイズは、最内周:ロール内周:ロール外周:最外周が68:82:106:116(mm)。
エッジのロールの太さは12mmですので、13mmのバックアップ材の中心を少しずらして縦割りして12mmの型を作成しました。これは12mmのバックアップ材が存在しないためでTRIO LS-10のエッジ制作のときに使った手法です。SS-S12Wの元のエッジは相当に薄く柔らかでしたので、今回の自作エッジで使用する布も薄手の綿布です(元は薄手のシーツ)。今回は「薄手でかなり柔らか目のエッジ」ですので最終段階まで倍希釈の液ゴムを少しずつ塗っています。
布の貼りつけなど、かなり気を使っていても液ゴムを塗っていくとどうしても浮いてくる箇所があります(赤丸の箇所)
このまま乾燥させると浮いた形状のままのエッジが出来上がってしまうので少し前のエッジ制作から輪っかで抑える手法を取り入れています。こんな感じ
輪っかを置いただけでは浮いたままですので、棒材で作った十字の上に重しを置いて乾かします。
薄い綿布に希釈液ゴムの1度塗りではヘナヘナ過ぎますので、2度塗りまでして柔らかさのチェックを行います。左のエッジの隅に出来栄えチェック用のロールを作っています。
2度塗りでこんな感じ、もう少しコシが欲しいのでロール部分にもに薄っすらと3度目の塗りを行い乾燥を待ちます。
エッジの乾燥を待つ間、ウーファーのコーンの処理を行います。
ウーファーのコーンは垂れたダンプ材の跡や色褪せでかなり汚い状態です。
着色は最小限の塗料で済むよう、水性染料系インクをエアブラシを吹き付けますのでマスキングします。
下の画像が着色後。
極薄吹きで最小限の塗料を乗せていきますので、ウーファーコーン表面の目もそのままです。センターキャップ跡との色差が薄っすらとありますがセンターキャップを付けてしまえば再着色したのは分からなくなります。
エッジも乾燥して完成です。
浮き上がり防止の輪っかのおかげでカチっとした良い形状で出来上がっています。
ワタクシの制作では台紙に円を描く際に裏面にも同心円の最外周と最内周を描いていますので、これに沿って切り抜くだけです。
エッジの貼り付けの前、必ず仮組みをします。
これは出来上がったエッジのサイズ確認のためもありますが、仮組みの際に接着剤をどのように塗って接着していけばコーンもエッジもなるべく汚さず確実に接着できるかをじっくりシミュレーションします。このシミュレーションは非常に重要です。コーンへのエッジの接着に関しては、ユニットごとに異なり、こうすれば失敗が少ないという「決め手」がないのです。ですので、そのユニット毎にシミュレーションです。
はっきり言って10〜12cmの小口径のエッジの装着は場数を踏んでいるワタクシにとっても難しい作業です。
ということで、エッジのコーンの内周への接着は撮影する間も余裕もない作業でしたので、いきなり接着が済んでいる画像ですみません。コーンに貼ったエッジをめくって外周の接着部に接着剤を塗っていきます。
今回、センターキャップを外した状態ですので、コーン&エッジのセンターリングやコーンの持ち上げ状態の維持は非常に楽です。
というわけで外周を接着してエッジの修復は完了です!
これで最も重い作業であろうウーファーの修復はセンターキャップの装着を残して9割りがた完了です。
次回はエンクロージャーですね。
これがヤニでコテコテで大変なんですよ、SS-S1Wのときもやたら手間と時間がかかったです。
以下の記事に続きます:
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