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YAMAHA NS-1000MM、良音化01・考察&吸音材

2020/03/05 - YAMAHA NS-1000MM

世の中、コロナウイルスで大変なことになりそうな予感。
パンデミック映画みたいです(呑気)

YAMAHA NS-1000MM、前回記事までは整備や掃除でしたが、今回から良音化計画の本題です。

これまでの記事はこちら:
YAMAHA NS-1000MM、良音化計画始まり
YAMAHA NS-1000MM、分解整備(前編)
YAMAHA NS-1000MM、分解整備(後編)

まずはオリジナルの状態での周波数特性を計測します。音楽を鳴らして解像度がどうの、低域が高域がと感覚的な内容を語るよりも視覚で見るのが客観的でよいかと思います。

これがオリジナルの状態の周波数特性、出力音はピンクノイズです。

NS-1000MM、オリジナル状態の周波数特性

150Hz〜1kHzが妙に突出気味、この帯域は主に人の声などの中音域です。何度測っても1kHz以上は不安定です(紫のギザギザの波形)。10kHzあたりに強烈な谷があるのと、150Hz未満で急激に落ち込んでいます。

AMラジオっぽい音になるわけです。
実際に音量を上げて聞くと「やかましくて不快」と感じる音質です。

ちなみにFOSTEX FW100+FT1RPで構成した鈍器系スピーカーの計測値(吸音材半分パターン)がこちら。割とフラットで10cmウーファーながら低域の伸びが違います。実際、とても良い音です。

FOSTEX GK10+FW100+FT1RPの周波数特性

なぜNS-1000MMがこういう音質なのか考察してみました。
中低域について:
・吸音材が入っていない
・密閉型といえど空気漏れが多い
・ネットワークに使用している部品の問題
・そもそもの話、ウーファーの特性がこの箱や構成に適していない
高域については:
・ネットワークに使用している部品の問題
・ツイーター前面についているディフューザーが悪さしてる
・ピエゾツイーターを並列接続しているせいでインピーダンス特性などに悪影響
・そもそもの話、ツイーターの性能の限界が低い
全体的に:
・ウーファーとツイーターのバランスが良くない
・エンクロージャーの剛性が低い、容積が足りない

見た目優先で作った結果がこの特性だと「ま、しょうがないか」と思うけど、当時のヤマハが2.1chを絶賛推進した背景やサテライト用と割り切って低音はバッサリ切り捨てというのも考えられます。わざわざ専用のスタンドまで出していたので、2.1chで使うのがヤマハの狙ったところという可能性が高いですが。

ちなみに、以前、オーディオショップでNS-10Mとスーパーウーファー・YST-SW500のコンビネーションの2.1chシステムを聞いたことがありますが、これはこれでYAMAHAが2.1chを推奨するもの頷けるほど素晴らしい音でございました。低域はサブウーファーに任せ、NS-10Mが得意な中高音に全力で鳴らせますので当たり前といえば当たり前ですが。ただ、なんとなく卑怯な手段(笑)に思えてオーディオ的な面白さにはちょっと欠けます。

NS-1000MMに対してできそうなアプローチとしては簡単な順に
・吸音材を入れてみる
・ピエゾツイーターの接続を切る
・密閉化を徹底する
・エンクロージャーの補強と重量増
・ネットワークを改造
・別のウーファーに交換
・スコーカー(ツイーター)のダイアフラムを交換
というところでしょう。

ツイーターそのものの交換は困難です。
理由は、見た目を変えないよう前面フレームはそのまま使うとして(これをやめるとNS-1000MMではなくなってしまいます)、75mm角の前面フレームに収まるようなマグネットサイズのドームツイーターが思い当たらないからです。ビクターSX-500なんかに使われてるアルニコ仕様のユニットならいけるかもしれません。

今回、第1回目、手っ取り早く吸音材を入れてみました。

アコースティックエアサスペンションを狙ったような吸音材ギュウギュウ詰めは後日試すことにして、今回はエンクロージャーの半分ほど充填してみます。

まず、ネットワークから各ユニットへの配線がやたら短く吸音材を詰める際に支障が出そうなので延長します。ネットワークの根元から配線を交換するには、タッカーで打ち込んで固定されているネットワークを引き剥がす必要がありますので(再固定が面倒臭い)、今回はファストン端子の延長配線を作成しました。ネットワーク改造の際に配線の変更を本格的に行いますので、今回は暫定配線。

NS-1000MM、ユニットへの配線の延長

このままだとショートする可能性がありますのでマイナス側をスパイラルホースで包みました。

NS-1000MM、ユニットへの配線の延長2

吸音材を詰めます。使用する吸音材はストックしている不織布で包まれたグラスウールです。
吸音材の使用は「徐々に増やしていく」が基本ですので、最初からギュウギュウ詰めにはしません。気持ちウーファーより上方に寄せて詰めました。

NS-1000MM、吸音材の充填

吸音材の効果としては
・エンクロージャー内部で生じる中高音の定在波の低減
・F特を下げて安定させる
・低域の調整
あたりでしょうか。

この吸音材の状態での周波数特性は以下になります

NS-1000MM、吸音材を入れた場合の周波数特性

低域の特性がなだらかになり、中音域の暴れも抑えられた感じです。この辺は箱内で生じた定在波が影響していたのでしょう。実際に聞くと若干ではありますが低域の伸びを感じるのと中音域の解像度が少し上がってやかましさ感が減少したように聞こえます。聞いた瞬間に分かるほどの違いですが(そりゃ、最初は吸音材無しだもん)、AMラジオ的な音はそのまんまですね。

次回アプローチは吸音材の増減調整やピエゾツイーターの接続を切ってみる、あたりでしょうか。
乞うご期待!

<追記:2020/11/02>
実際に各ジャンルの音楽を鳴らした空気録音動画をアップしましたので参考にしてください。

1. 00:04 〜 Ride of the Valkyries – Wagner (Classic)
2. 02:34 〜 Gymnopedie no1 – Satie (Classic/Piano)
3. 03:34 〜 Blue Funk – Michael Ramir C. (Funk/Electric Bass)
4. 04:54 〜 Atop A Mustang – Arulo (Latin/Acoustic, Percussion)
5. 05:49 〜 Piano Store – Jimmy Fontanez_Media Right Productions(Jazz)
6. 06:34 〜 Eine Kleine Nachtmusik – Mozart (Classic)
7. 07:56 〜 In the Shadows – Ethan Meixsell (Hard Rock/HM)
8. 09:18 〜 Invisible Pieces – Silent Partner (Blues/Rock)
9. 10:19 〜 Winter – works291 (JAZZ/Piano, Contrabass)

1,2,5,6,7,8: YouTube Audio Library
3,4: mixkit
9: works291 Original Jazz

このシリーズ、まだまだ続きます!
「YAMAHA NS-1000MM、良音化02・ウーファーを交換してみる(失敗)」に続く

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