ONKYO M77のレストア記事、第3回目です。
前回までの記事は以下になります:
・ONKYO M77、レストア・その1
・ONKYO M77、レストア・その2
修理箇所などはその2で終了していますので、今回は各ユニットの紹介や組み立てまでの完了編となります。
まずスコーカーです。
1.1kHz〜6kHzを受け持つスコーカーでダイアフラムは3.5cmです。
剥き出しのダイアフラムに斜めに入るリード線がなんとなくBRAUNのL830のスコーカーっぽい雰囲気を醸し出てます(BRAUNの方がもう少しゴツい造りですが)。ONKYOの売り文句は特殊な粘弾性材のコーティング剤の9回重ね塗りとのことで、そのコーティング剤は硬化することなく健在です。
背面は90mm径の大きなマグネットが目を引きます、フレームは樹脂製。構造自体は一般的なドームユニットのものでバックキャビティはありません。
次にツイーターです。
2.5cmのソフトドームで素材や外観はスコーカーをそのまま小さくしたような感じ。
こちらは特殊な粘弾性材のコーティング剤を4回重ね塗りだそうです。
マグネットは75mm径、こちらもフレームは樹脂製です。
外観上、特筆するものはありませんが、45kHzまでの再生帯域となっています。ま、出ていても聞こえないんだけどね(笑)。
エンクロージャーは堅牢で丁寧な造りです。断面を見るとパーチクルボードの密度も十分(モノによっては見るからに密度が荒く比重が軽いものがあります)。ユニットを留めるネジは木ネジではなく、全てボルト+爪付きナットとなっています。
吸音材は綿っぽい素材のものが内壁に丁寧にタッカーで留められています。
外観の木目は突き板です、なかなかゴージャスなエンクロージャーです!
最後にネットワークです。
クロスオーバーは1.1kHzと6kHz、特に問題はなかったのでターミナルとは分離していません。
このスピーカーがブーミーな味付けの一因となっているのが左下のR1とR2の抵抗。これで高域のレベルを固定で下げているのですが、直列で入っているので安易に外すと合計インピーダンス値が変わりクロスオーバー周波数が変わってしまいますんでそのままです。聴感で調整するとアッテネーター1クリックプラスくらいが良い感じになります。
というわけで組み立ててレストア完了です!
無骨なデザインが良いです。Victor Zero-10Fは時代的に少しオモチャぽい雰囲気でしたが、こちらは無骨でなんとなくプロ用モニターみたいな外観です(音質は全然モニターじゃないですが)。
KENWOOD LS-1001のように、各部、とても良い造りで上質なユニットが使用されているので、ちょっと手を加えるだけでかなり化けるスピーカーだと思います。改造意欲がとても刺激されるスピーカーです。もし、何か手を加えるなら先ず吸音材をみっちり入れてやや緩慢な低域を引き締めたいところです。次にネットワークですね。スコーカーは計測したわけではないですが、もう少し低い周波数(600〜800Hzくらい)から使えるんじゃないかと思ってます。それぞれクロスオーバーを少し下げた800Hz、3kHzくらいの固定抵抗のないネットワークに入れ替えてスコーカーとツイーターにもう少し働いてもらう方向でチューニングしてみたいですね。
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