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ONKYO M55 (1セット目)のレストア・その4

2025/02/14 - ONKYO M55

ウーファーは放置して乾燥を待っている間、ツイーターの作業を進めます。ウーファーは1週間以上放置状態です。ちなみにブログを執筆日=作業を行なった日ではないです。このM55の作業自体が1年くらい前だったりします(汗)。いろんな機種のブログネタなど画像や動画が溜まってるんですが、なかなか記事化できず…

話は戻りましてツイーターの作業です。磁気ユニットの前面プレートの腐食を除去します。画像はマグネットに接着されていた側です。

ONKYO/オンキヨー・M55、腐食劣化した磁気ユニットの前面プレート

マグネットずれでなぜ音が出なくなるか、それはプレートの腐食が進んで接着が浮いてプレートとマグネットが分離、フリーな状態になったマグネットはヨークに磁着、ヨークを囲むボイスコイルはマグネットとヨークに押さえつけられる形になり動かなくなる。というのがマグネットずれによる音が出ない症状の仕組みです。

腐食は除去しましたがプレート表面の凹にある錆までは取りきれません。まぁしょうがないけど、ここは接着剤で埋まりますので大きな問題にはならないです。

ONKYO/オンキヨー・M55、腐食劣化した磁気ユニットの前面プレートを研磨

磁気ユニットを組み立てるのですが、まずはバックプレートとマグネットを接着します。これは最初にくっついておかないと後々の作業ができませんので。エポキシで丸1日硬化を待ちます。

ONKYO/オンキヨー・M55、磁気ユニットのバックプレートとマグネットの接着

今後の組み立てがスムーズに進むように他の部品のチェックを行い、必要に応じて対処します。

まず、ドームダイアフラムのボイスコイルです。マグネットずれで固着すると多くの場合、ヨークとマグネットに挟まれていたボイスコイルは少なからずダメージを受けます。この場合、傾いたまま挟まれていた時間が長かったのか、エッジが偏り癖がついてダイアフラム&ボイスコイル自体が傾いていました。

ONKYO/オンキヨー・M55、ツイーターのボイスコイルの傾き

傾きがわかりやすいように赤いラインを入れています。

これをどう修理するかというと、ヒートガンでエッジを局所的に温めて、元の位置に抑え込んで冷やすを繰り返します。ヒートガンで局所的に温めるには画像のような細口のアダプタを使います。また数百度なんて温度で熱するとアウトなので温度調整のできるヒートガンを使います。この場合は100度くらいに設定。

ONKYO/オンキヨー・M55、ツイーターのボイスコイルの傾きをヒートガンで修正

これが作業の結果です。見た目上はうまくエッジを修正することができました。ヨークやプレートに接触しないか仮組みして確認します。

ONKYO/オンキヨー・M55、ツイーターのボイスコイルの傾きを修正しました

ダイアフラムはフレーム側に円形のプレートを介して取り付けられています。このプレートを外せばプレートにダイアフラムごとついてきます。なかなか整備性はいいです。

ONKYO/オンキヨー・M55、ツイーターのダイアフラムの取り外し

まず、ダイアフラムについている導入線とフレームにある端子とのハンダづけを剥がしてダイアフラムの導入線をフリーな状態にしておきます。この円形のプレートは接着されていますのでラッカーシンナーを接着剤に浸透させてから精密ドライバで少しずつ持ち上げます。

ONKYO/オンキヨー・M55、ツイーターのダイアフラムの取り外しその2

フレームとダイアフラムの円形プレートを分離に成功。ちょっと緊張しました。

ONKYO/オンキヨー・M55、ツイーターのダイアフラムの取り外しその3

磁気ユニットの前面プレートの表側をみると、このダイアフラムの円形プレートがピタリ嵌るように枠&凹の形状になっています。

ONKYO/オンキヨー・M55、ツイーターのダイアフラムの取り外しその4

磁気ユニットの前面プレートに接着剤の痕跡がありますので、実のところ、ダイアフラムの円形プレートは先行して磁気ユニットの前面プレートに接着、その後でフレームと接着なのでしょう。

仮組みしてみます。この状態で固着していたボイスコイルが正常に円形を保っているか、プレート枠やヨークに干渉しないかをチェックします。

ONKYO/オンキヨー・M55、ツイーターのダイアフラムの仮組み

バチビタで隙間なく非常に精度がいいです。なんとなく工作の荒いイメージのあるオンキヨー製品ですが、意外や意外です(失礼や)。ちなみにオンキヨーは元々がスピーカー製造から始まったメーカーであり、この時代のオンキヨーのスピーカーユニットはオンキヨー内製です。60年代末のSONYのスピーカー(SS-3800)をバラしたら中身はオンキヨーでビックリでした。当時、スピーカーを内製できるメーカーは一部のみでソニーやヤマハなどはビクターやオンキヨーやフォスターに外注でした(この辺りの話はPARC Audioの冨宅氏のブログに詳しいです)。

とうわけで、この状態でボイスコイルの形状や干渉をチェックします。

ONKYO/オンキヨー・M55、ツイーターのボイスコイルの干渉と形状のチェック

ちょこっと円形が歪んでいたようで軽く手で修正して解決です。なかなかの精度で気持ちいいです。

ここまで各部品の一通りのチェックや対処ができましたので磁気ユニットの最終の本組み、前面プレートの接着作業を行います。まずは仮組みです。前面プレートが磁石に直についてしまうと引き剥がすのがドエラく大変なのでマグネットからわずかに浮くようにボルトを少し出っ張らせて差し込んでおきます。この状態でジグのセンターリング位置の固定やヨークと前面プレートのギャップなどを計測してプラ板などでスペーサーを作成します。

ONKYO/オンキヨー・M55、ツイーターの磁気ユニットの仮組み

位置決めやスペーサーのセットが完了したら極薄でエポキシ接着剤を塗ってボルトを抜いて本接着します。この作業は何度やっても緊張します。

ONKYO/オンキヨー・M55、ツイーターの磁気ユニットの本組み

このまま24時間以上放置してツイーター磁気ユニット部のオーバーホールは完了です(もち、左右分両方とも同じ作業してます)。
次はツイーターフレーム周りですね。

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