当方のコレクションの紹介です。
G-Bホーンツイーター搭載のDENONのSC-L30です。
後述しますが、マニア好みな凝った内容のスピーカーでありながら、地味なモデルというか、はっきり言って超マイナーなモデルです(そのせいかオクでも安いです)。本機はLo-DにHS-V3というモデルとしてOEM供給されてもいました。
さらに、余談になりますが、、、
本機よりも一回り小振りな弟分としてSC-L10(オーディオの足跡へリンク)というモデルがありますが、こちらはドームツイーターとの同軸2ウェイ1発の構成、キャビネットもAero-Tubeになっていて、これも興味深いモデルであります。
さらにさらに、同時期のDENONのミニコンポCONCEPTシリーズに付属のUSC-6800という本機に極似したモデルがありますが、これはツイーターがコーンツイーターになっていたりと完全に別物ですので入手の際は注意してください。DENONのミニコンポCONCEPTはゴクミが広告モデルでした。
購入するならLo-DにHS-V3ですかね、本家よりもシックな仕上げでいい感じ、ウルトラマイナー不人気モデルで爆安で買えるのではなかろうかと。
さて、本機は1988年の製品で世はバブル絶頂の頃となりますが、すでにフルサイズのオーディオコンポーネントは陰りを見せ始め、売れ筋はミニコンポに移行済みの時代です。また、大型ブラウン管のTVがグっと身近な値段になり、オーディオ&ビジュアルが活況の時代です。その影響もあり、この頃のオーディオ製品は
・やたらと低音再生能力を売りにしたもの
・好況に後押しされたプチ贅沢なもの
が多いのが特徴です。
本機もその一つで高級感のある仕上げ、Aero-Tube方式による豊かな低音再生能力と大型TVの横に置くことが前提のデザインになっています(カタログを検索すると兄弟機のSC-L50と共にそういう構図の写真が出てきます)。各メーカーから次から次へとAVアンプやスーパーウーファーが出てた時期、TV自体もキララバッソなんか出てて当時の流行を象徴する製品ですね。
このSC-L30のもう一つの特徴としてG-Bホーンツイーターが搭載されています。
が!実は本機はサランネット固定となっており、そのホーンツイーターのご尊顔を拝むことができません。なので、まずはサランネットを外します。
まず最初に背面のターミナルを取り外します。
この穴から覗くとサランネットの下部を止めるネジ(赤矢印のネジです)が見えますので、このネジを外します。
上部はどのように止まっているかというと、この画像の爪で引っ掛けているだけです。
サランネット取り外すには
1.サランネットの下部を手前に引く
2.そのままサランネットを下方向にスライドさせる
これで取り外せます。
サランネットを取り外したご尊顔がこれです!
ウーファーよりも大きなホーンでカッコ良いです!こんなに個性的でカッコいいのに、なぜサランネット固定にしたのだろうかと。ただ問題があってバッフル面はパーチクルボードそのまんまで何の表面処理もされていないので、手荒に扱うと木屑がボロボロ出ます。
ユニットを外す前にAero-Tube方式のおさらいです。
こんな構造です。
変則的なバックロードホーンのようになっています(凝ってるなぁ)。そんなわけで奥行きがやたら長いのもこのスピーカーの特徴です。
ユニットを外してみました。内部に吸音材はありません、いかにもバックロードホーン的。
ちなみにエンクロージャーは突き板仕上げ、内部も随所に補強が入っており、バッフル面以外はかなり丁寧な作りです。
ユニットを見て行きましょう。
12cmウーファーです。
防磁型、エッジはウレタンですが朽ちるタイプではないです。コーンは軽量でダンパーはやや固め(ダブルダンパー!)、どちらかというとFOSTEXのFEシリーズなどのフルレンジに近い作りかと思います。おそらくこの箱にfoの低いハイコンプライアンスなウーファーなんか入れるとブーミーで節操のない低音になるかと思われます。
ツイーターいきます
G-Bホーンツイーターです。
広指向角・定指向性が特徴。DENON自身、当時のお気に入りのツイーターのようでこのモデルの他に兄弟モデルのSC-L50やSC-7.5にも採用されています。SC-7.5については以前、レストア記事を書いておりますので、そちらもご覧いただければ、と思います。
ドライバー部はSC-7.5のツイーターと同一かと思います。
以下はSC-7.5のG-Bホーンツイーターです。
ターミナルと一体型のネットワークです。
クロスオーバー周波数は公開されておらず、残念ながら防振剤で固められているせいで正確なクロスオーバー周波数は不明です。ツイーターの音圧レベルを小口径のウーファーに合わせるため、ツイーター側には抵抗が入っています。
そんなわけで、このバックロードホーンのようなエンクロージャー+ホーンツイーターという構成の本機がどのような音を奏でるか、空気録音して動画化しましたので聞いてくださいまし。
1. 00:04 〜 Ride of the Valkyries – Wagner (Classic)
2. 02:34 〜 Gymnopedie no1 – Satie (Classic/Piano)
3. 03:34 〜 Blue Funk – Michael Ramir C. (Funk/Electric Bass)
4. 04:54 〜 Atop A Mustang – Arulo (Latin/Acoustic, Percussion)
5. 05:49 〜 Piano Store – Jimmy Fontanez_Media Right Productions(Jazz)
6. 06:34 〜 Eine Kleine Nachtmusik – Mozart (Classic)
7. 07:56 〜 In the Shadows – Ethan Meixsell (Hard Rock/HM)
8. 09:18 〜 Invisible Pieces – Silent Partner (Blues/Rock)
9. 10:19 〜 Winter – works291 (JAZZ/Piano, Contrabass)
冒頭でも書いたように豊かな低音再生能力が特徴です。オーケストラもこのサイズからは想像できないほどの雄大感があります。これがもし普通のソフトドームツイーターであれば、完全にツイーターが負けてしまうと思いますので、ホーンツイーターの採用は正解だと思います。ジャズやライトなロックは良いのですが、ハードロック系ではややブーミーな感じになってしまいますので、EDMなどのズンドコ系の音楽には向かないと思います。当録音ではスピーカー台に乗せていますが、床やデスクに直置きすると低音出過ぎになってしまうので、スピーカー台は必須かと思います。
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