GBホーンの音を聞いてみたい、という目的のみでゲットしたDENONのSC-7.5です。ツイーターの音を聞く以前の問題でウーファーのエッジが崩壊していますんで、まずはこれを修理してから、ということになりますな。
こういう状態なので安く入手できてよかったのですが、面倒臭い…
GBホーンは80年代末から90年代の初め頃にDENONがいくつかのモデル(SC-7.5, SC-L30, SC-L50, SC-900 Genova)に採用したホーンツイーターで広指向特性が特徴だったりします。当時のDENONの自信作だったのでしょうね。
SC-7.5の全体像はこんな感じなのでそのまま置くとバッフルがやや上方を向きます。底面と側面にM8ボルト(12cm間隔)を止めるネジ穴がありますんで、スタンドや天吊も可能です。
見かけは少しヤボったいですが、エンクロージャー表面やウーファーフレームやホーンはスエード調塗装といってザラついた仕上げになっています。型番からすると当時のDENONの高級ミニコンポPRESTAシリーズを構成した製品の一つではなかろうかと。
んでコイツが困ったことに、そのスエード調塗装が経年で少しベタつく上にカビも生えやすく、爪で軽く撫でただけで傷がついてしまう有様です。
新品のときは高級感もあったのでしょうが、今となってはこの塗装のせいで扱いにくい上に酷くボロくみえます。安いのはそのせいもあるんだけどね。
ちなみにスエード調塗装面のクリーニングは拭き掃除などではなく、消しゴムを使うと良いそうです。
まずはウーファーを修理しないと始まらない…
取り外しました、エッジはゴムっぽい薄手のウレタンです。センターキャップはクロス製のものにダンプ剤を塗ったものです。防磁型でマグネットサイズは並みですな。
ネットワークはエンクロージャーの裏面全体がネットワークになっています。わざわざこのために金型を作るのがバブル期のなせる業。
クロスオーバーは4kHz、ツイーターは12dB/octでウーファーはローパスのコイルのみです。コイルが太線でお金かかってます、さすがバブル。
フレームにプラ製(たぶんABS)の化粧枠が接着されていますので、剥がします。
新エッジは先にコーン側に接着します。
エッジをコーンに接着する場合、画像のようにコーンの下に丸めたエアパッキンなどを入れてコーンを持ち上げた状態にしておくと作業しやすいです。
このウーファーのエッジが少し変わった保持方法で、フレーム側のエッジが接着されている厚紙を全て剥がしてはいけません。以下のような重なり構成でエッジを保持しています(グレーが化粧枠、赤い部分が厚紙)。
厚紙に挟み込んだエッジを化粧枠側でホールドする、という構造ですので厚紙を全て撤去してしまうとエッジを十分にホールドできなくなるのであります。なので、下側(フレーム側)の厚紙は残しておく必要があります。
上側(化粧枠側)の厚紙は再利用不可能でしたので今回は以下のような構成で対処。
厚紙にエッジを接着した後、化粧枠側でエッジをホールドするように接着剤を塗って組み立てました。化粧枠はエッジとの接着面だけではなく、フレームと一体化するよう接着剤を塗っています(フレームと化粧枠は強固に接着する必要があるのでエポキシ接着剤)。難しい作業ではないんですが、いつもと勝手が違うのでかなり戸惑いました。
というわけで出来上がり、化粧枠はスエード調塗装を剥がしてラッカーシンナーのグレーで再塗装しています。エッジは市販のラバーエッジです。
化粧枠は「エッジをホールドする厚紙+エッジの厚み」でフレームの外枠にピタリと合う構造になっている上、エンクロージャーへのネジの締結力で化粧枠がエッジを押さえる構成にもなっていたりで(なんつーややこしい設計)、この厚みの合計が変わるとネジを締めたときに化粧枠が歪みます。
当初、ウーファーをエンクロージャーにマウントしたらエポキシ接着剤がパキンッと剥がれたので何事かと思った(化粧枠が歪んで剥がれた、再接着は凄ーく面倒でした)。
ということで、ネジの締結力で化粧枠を抑えないよう、化粧枠のネジ穴を加工しました(化粧枠とフレームの接着部)。
それにしても経年劣化したスエード調塗装は汚いっすね。
なんだか色々と面倒臭いウーファーだったっす…
続きは以下の記事です:
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