トリオ・LS-77のレストア、第4回目です。
これまでの記事は下記であります:
・TRIO LS-77、第1章・とんでもジャンクでした
・TRIO LS-77、第2章・錆落とし&磁気部組み立て
・TRIO LS-77、第3章・同軸ユニット1本目完成!
今回は同軸ユニット2本目の作業に入ります。
1本目で素性を把握したので手早く出来るかと思ったら、これが意外と苦労しました。
まず最初にホーンツイーターを取り外すのですが、ガスケットの固着が強くてネジを緩めても簡単に外れないのです。木の柄でコンコンと軽く叩きながらやっと外れました。
2本目も磁気ユニット部分はガッツリ錆びています。錆び具合としてはこっちの方が激しいかも。
1本目と同じく、磁気ユニットなどを分解する前にコーンを取り外せる状態にまでしておきます。このユニットはコーン中央にツイーターをマウントするアルミのカップ状の部品がネジ留めされているので取り外します。
普通にドライバーで回そうとしても1本目と違って全く動く気配がありませんのでインパクトドライバーを使います。こんなヤツね。
つぎにダンパーの取り外し。
1本目のときは簡単な記述で流しましたが、画像を撮影していますのでダンパーの取り外し方法を説明しますと、ダンパーが接着されている部分にスポイトでラッカーを流してダンパーとフレームの接着剤を溶解して取り外します。
画像ではちょっと分かりにくいですが、ダンパーの接着部はラッカーシンナーをたっぷり含ませた状態です。ラッカーが乾ききらないよう時々ラッカーを足しつつこの状態で数分間経つと綺麗に剥がれます。
エッジもラバーのガスケットを外してラッカーシンナーで接着剤を溶解します。
このユニットのエッジはクロスエッジですので、ラッカーに対しては特に問題は生じませんでしたが、ウレタンエッジなどはラッカーが付着しただけでフヤけてダメになってしまうことが殆どです。ウレタンエッジの場合、再利用前提でダメージを与えずにエッジを剥がす方法は…知りません。
さて、これでコーンがフリーの状態になりました。2本命はヨークがボイスコイルボビンを完全に噛み込んでいませんでしたので、マグネット部を分解することなくコーン&ボイスコイルを丸っと取り外すことができました。
ただ錆がボイスコイルと共にたくさん出て来ましたので、こちらは錆でコーンが動かなかったようです。
マグネットは完全に錆で接着が剥がれている状態ではなかったので、こちらはフロントプレートを止めるネジを長いネジに差し替えてネジ込んでマグネットをネジで押し出す作戦でマグネットを剥がしました。
この黒いネジをグリグリ締め込んで行くと赤い矢印が指す箇所がどんどん剥がれていきます。ネジ込んでいく力は軽くて済みましたので接着はほぼユルユルの状態でした。
というわけで、マグネット&バックプレート部のみの状態を取り出せましたので、次にマグネットとバックプレートを剥がします。通常、ここはエポキシ系の接着剤なのでラッカーでは接着剤は溶解しませんが、ラッカーで溶ける接着剤を使用している例もわずかにありますので(ヤマハのプロ用ドライバーJA4201がそうでした)、まずはラッカーシンナーで剥がれるかラッカー漬けにして試してみます。
はい、接着はビクともしません。
ハンマーやプーラーなど、力任せの作業を行うとマグネットが割れたり欠けたりしますので、なんとしてでも接着を溶解しないといけません。ラッカー、ガソリンなどを試してダメなときはどうするかというと、熱を加えます。
まず最初にマグネットに熱を加えて良いかどうかですが、磁石というものは熱を加えると減磁します。元の温度に戻ったときに元の磁力に戻るものを可逆温度変化になりますが、これはきちんとデータがあって
・磁石は温度が上がると磁力は低下するの?
<永久磁石及び永久磁石関連商品加工・販売・株式会社二六製作所>
上記の資料によるとフェライトマグネットは300度くらいまで大丈夫。
ということで加熱してみます。
温度を指定しつつ固体物を徐々に加熱できるもの、身近にありました。
それはホットプレート!
実はこれ、食卓から退役した後、ガレージ作業で工具と化して活躍しているホットプレートです。焼き付け塗装などに使ったり便利です。
これで120度くらいの目盛りでしばらく加熱した状態でマグネットを掴んでヨークを押すと簡単にマグネットからバックプレートが外れました!
いやぁ、めでたしめでたし。
2本目は分解するだけでエラい苦労しました。
次回、同軸ユニット2本目の整備組み立てです!
続きは以下の記事であります。
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