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TRIO LS-77、第1章・とんでもジャンクでした

2021/02/20 - TRIO LS-77

新ネタはじめます。
TRIOのLS-77です。

だいぶ前にオクでゲットしたものです。ブログネタとしては本邦初公開ですが、すでにレストアは済んで久しく、今はセンモニの隣でグッドサウンドを奏でています。

このLS-77、同軸ユニット好きなので以前からすごーく欲しいスピーカーの一つで「いつかは」と思ってました。なぜかいつも競り負けて縁がなかったのです。今回ゲットしたブツのオークションの出品説明には「音出し確認済み、全ユニットから音出てます」という心強い説明文を信じてゲット。しかも競り相手も現れず、開始価格で終了。これまでオクで見た平均相場の半分以下です。

TRIO/トリオ LS-77、レストア前の画像

大きなモノなので発送手配に手こずったらしく、10日ほどあーだこーだの末に到着。

開梱して現物を見て「おぉ、めっちゃキレイですやん!」と、そりゃもう大感激しましたよ。んで早速アンプに繋いで音出しをしたわけです。

しかし、ボリュームを上げると何かおかしい…

(音は出るには出るけど低音は)こんなもん?」
(いやいや、そんなことはないでしょう)NS-20Mより出てないし」

とユニットをチェックすると。

あれ、ウーファー動かん
ウーファーが固着しとりますがな!!

この年代のスピーカーにはよくあること。
特に密閉型やパッシブラジエータものはキャビネット内部で湿気を保持しますんで、腐食によるマグネットずれが引き起こす固着の確率は上がります。

経験ある人には分かると思うんですが、これくらいのサイズのスピーカーになるとウーファーが固着してても、小音量だと固着してるなりの振動で僅かながらも音は出てるような感じはあるのです。最初、ワタクシも小音量で聞いたときは問題を感じなかったくらいですし。出品者さん(出品物から察するにおそらくリサイクル関係の業者さん)もチョロっと鳴らして「はい、チェックOK」みたいな感じだったのでしょう、世の中そんなもんです。

本機ご自慢の同軸ユニットを外してみたところコッテコテに錆てます、あちゃー

TRIO/トリオ LS-77、同軸ユニットのマグネットずれ

錆で磁気ユニットの接着が浮いて盛大にマグネットが←方向にズレてます、んあー。

もう一方も同じくズレてます、画像では→方向にマグネットが寄ってるのが分かるかと…

TRIO/トリオ LS-77、同軸ユニットのマグネットずれ2

ガッカリです!
英語でいうとDisappointed!

返品しようかとも思いましたが、
・出品者さんに状況を説明する手間
・出品者さんに返品&返金を納得させる手間
・再梱包する手間
・発送業者を探す手間(このサイズになると断る業者もいるのです)
・返品後、このLS-77が廃棄されてしまう恐れ
・再びLS-77を探す長い旅が始まる
と、いろいろ考えると返品は激しく面倒臭く感じてきたのと、返品の手間よりも修理の手間の方が楽な感じもしたので(当方の場合、この手の修理には慣れてますんで)、プラモデルを買ったと思って修理することにしました。これだけ外観もキレイなのを格安ゲットは今後はないだろうな、というのも理由の一つです。

※念のため、出品者さんはこの大物をいかにして発送しようと奔走してくれたりと、対応の良い方で、決して売りっぱなしのヤバい系の業者さんではなかったです。

修理好きなワタクシが安値でゲットできたのは、何かの縁、何か見えざる力が働いたのかもしれない(笑)。
というわけで修理です。

まず、取り外した同軸ユニットを分解します。
最初に同軸の中央にあるホーンツイーターを取り外します。ネジで留まってるだけなので容易に外れます。

TRIO/トリオ LS-77、同軸ユニットのツイーター取り外し

次にエッジの接着を剥がしてコーンがいつでも容易に外せる体制を先に作っておきます。画像にはありませんが、ダンパーの接着部も接着を剥離させてます。

TRIO/トリオ LS-77、エッジとダンパーの接着を剥離

なぜ先にこれを行うかというと、マグネットを外した状態では万一ボイスコイルが腐食で固着していると、ボイスコイルむき出しの状態になり、ユニットを仰向けにしてこれらの作業を行うのが困難になるからです。

この大きさになるとマグネットを剥がそうとしても、磁力で人力ではビクともしませんので、錆でできた隙間からマイナスドライバーを挿入してテコの原理でマグネット少し浮かせてからを剥がしました。
ヨークとボイスコイルが固着してるとマグネットを引き上げた際にボイスコイルがくっついて来て、ボイスコイルを炒めるので慎重に…

TRIO/トリオ LS-77、錆で浮いたマグネットの取り外し

ボイスコイルはトッププレートからの若干の錆が伝染してましたが、固着はなかったので一安心。コーンを取り外します。

書き忘れましたが、このユニットは中央のホーンが入るアルミのカップ状のケースがヨークにネジ留めされているので、マグネットを外す前に矢印のネジを外してフリーの状態にしておきます。

TRIO/トリオ LS-77、コーンの取り外し

本来ならこの画像にある内周の黒いダンパー状のエッジを外すのが理想ですが、このダンパーエッジを外すと再接着は困難っぽいので外しません。

これでようやくコーンが外れ、フレームのみの状態になりました。

TRIO/トリオ LS-77、コーンの取り外し2

各部の状態を確認すると…
まずフレームに残っているトッププレートの内周は錆々です。

TRIO/トリオ LS-77、トッププレートの錆

ということはボイスコイルにはここの錆が伝染して付着しているということ…

一見、錆でダメダメな感じですが、DCRなどを計測すると普通の値のようでコイル自体は問題なさげ。ボイスコイル自体が腐食しているのではなく、表面に錆付着しているだけなので、洗浄すればイケるでしょう。コイル線の表面のエナメルが剥がれるとコイルとしての機能を損ないますので、間違ってもサンドペーパーや真鍮ブラシのようなもので研磨してはいけません、汚れを落とすのみで大丈夫。

というわけで今回は片側のユニットの分解まで。
作業は左右同時進行ではなく、片側毎行います。

次回は腐食を落として組み立てであります!
続きは下記の記事となります:

TRIO LS-77、第2章・錆落とし&磁気部組み立て

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