屋根裏倉庫から出しましたVictor ZERO-10F。
(ツイーター&スコーカーのリングの色の違いは光の反射によるものです)。
手狭になってきたことと、今後1〜2年をかけて行う機材刷新で売却することにしましたので、大きなものから売却前の整備や音出しチェックといったところです(すでにSONY SS-T70ESなども売却済み)。怒涛の低音再生能力とウォームな音質でなかなかの実力機ですが、我が家では存在がNS-20Mと被ってしまうためほぼ出番がないのです。
と、そんなことを言いつつヤフオクなんか見て新たに買っちゃうんですよね…
1.なぜ23cm 3ウェイなのか?
2.Victor ZERO-10Fの状態(改善目標)
今では殆ど見られませんが80年代初頭〜中頃に多く存在した「20cmよりもちょっとだけ大きなウーファーの3ウェイ」カテゴリーです。このカテゴリー、同時代の代表的なものを挙げると以下のような(他にもあります、Lo-D HS-33Dなどの20cm3ウェイは除外しています)。
・DENON SC-503(1983・22cm + 4.3cmドーム + 1.6cmコーン)
・ONKYO D-1R(1984・22cm + 2.5cmドーム + 2.0cmドーム)
・ONKYO M77(1980・23cm + 3.5cmドーム + 2.5cmドーム)
・PIONEER S-X6(1982・22cm + 5.2cmコーン + リボン)
・Technics SB-5A(1982・22cm + 5.2cmハニカム + 2.8cmハニカム)
・Victor ZERO-10F(1984・23cm + 7cmバランス + 2.5cmドーム)
・YAMAHA NS-20M(1983・23cm + 4.7cmバランス + 3.0cmバランス)
1代で終わった終わったモデルも多いですが、その後、ONKYO D-11やPIONEER S-1300DVのように進化したモデルもあります。国産で先鞭をつけたのはONKYO M77ですが、これはドームスコーカーの外観などを見るとVISONIK David100やBraun L-830などを意識したんじゃないかと勝手に思ってます。上記のうち、YAMAHA NS-20M, Victor ZERO-10F, ONKYO M77は所有品、NS-20Mは現役で日常使用しています。
なぜ22cmとか21.5cmとか半端なサイズなのかと考えてみました。
・25cmだとイメージ的に大きなキャビネットになり、売りにくい&ユーザーも買いにくい
・20cmよりは低音再生に少し有利
・競合が20cmなら我が社は23cmだ!
あたりじゃないかなと。誰もが思いつくような理由しか思いつきません…
当時は25cmになるとフルサイズのシスコンの印象から「床に置くあの大きなヤツ」というイメージが支配的だったりします。
軽く掃除をした後、各ユニットから音が出ることを確認。少し鳴らして「あれ?」と。ZERO-10Fはややブーミーで小音量でも量感たっぷりのはずの低音が出てないです。初めてこれを聞く人は「こんなもんか」と思うかもしれませんが、同クラスのものをいくつか聞いた経験があれば「これはおかしい」と即座に感じるレベルで低音が出てないです。簡単に言うと小音量時のNS-20Mよりも出てない。
エンクロージャーに収まったままだと密閉型ゆえに動き具合がよくわからないのでウーファーを外しました。
一見、ウーファーは普通のコーンに見えますが紙ではなく、コーン紙のように整形されたセラミック振動板です。超硬質軽量の白いセラミックに塗装などを施したものです、裏から見ると分かりやすいです。
当時、VictorがこだわっていたものでZERO-30Fineには25cm、ZERO-50Fineには30cm、この23cmウーファーを採用したモデルは他に見当たりませんので、ZERO-10Fのためだけに作られたアルミフレームのセラミックウーファーです。重厚なアルミフレームといい、お金かかってます!
※ZERO-AV3は同口径ですが、鉄フレームの複合コーンです
話は戻ります、
低音が出ない原因はエッジの硬化です。ダイヤトーン製スピーカーのエッジのようにたっぷりとダンプ剤が塗られていればカチカチになるところ、表面に薄っすらなのでカッチカチになるのではなく、振動板はかろうじて動くけどパリパリになってて硬いです。ちょっと押すと柔軟性がないのでこんな感じ。
古いスピーカーにはよくあることです。
倉庫で眠っているPIONEER CS-X1なんかもこのパターンで低音がスカスカです。この症状の悲しいところは、ウーファーは動いて何となく音は出ますので、それで正常に鳴っていると勘違いされて「古いスピーカーの音質、こんなもん?ダメだな」と誤解されることですね(いえいえいえいえ、正常ならちゃんと出ますよ、と)。
ダンプ剤の硬化対策は軟化剤(ブレーキフルードとか)などの塗布がありますが、それは解決策ではなく応急処置、「ウーファーが動けばどんな音かとりあえずチェック」のときは軟化剤を使いますが、今回は恒久的にウーファーには動いてもらう必要があるので軟化剤は論外です。
そんなわけで、次回記事はウーファーだけエッジ張り替えであります。
ヘアライン仕上げのフレームの錆除去もやらないと。
続きは以下の記事です:
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