FOSTEX FW100のレストア作業の第2回目記事です。
以下の記事の続きです:
・FOSTEX FW100、レストア作業(リコーン)その1
今回はリコーンの前にダンパーが長年の仰向け放置で沈んでしまっているので、それを修正します。
まず、最初の状態です。
ダンパーが中央に向かって落ち込んでいるのが分かるかと思います(赤いラインが落ち込み角度のイメージです)。
正常な状態がどういう状態かというと、指で少しボイスコイルを引っ張り上げた状態…
これくらいが正常な状態です(もう1〜2mmくらい引っ張り上げた方が正常かな)。
コーン型のスピーカーユニットを長い年月の間に渡って仰向けで保管すると、この画像のようにコーン紙の重みでダンパーが徐々に下がってきます。特に振動板重量の重い大口径ウーファーなどに顕著です。なので、保管の長い古いユニットをヤフオクなどで購入する際は注意が必要です。
長期保管の際はユニットを立てて置くか(定期的に180度ひっくり返す)、仰向けで置く際にはコーン紙とフレームの間に丸めた新聞紙などを突っ込んでダンパーにコーン紙の重量がかからないようにするのがよいです。
さて、落ち込んだダンパーをどうやって修復するか?
最も良い方法は、JBLやALTECのようにダンパーが含まれているリコーンキットを使用してダンパーごと交換ですが、このユニットのように入手不可能な場合は修正作業となります。
そもそもの話、ダンパーは何でできているかというと、布を蛇腹状にして樹脂を染み込ませて生成されています。ということで、修正はその樹脂を熱で戻してやればよいです。
その方法とは…
ダンパーを正常な位置に引っ張り上げた状態でドライヤーの弱風弱熱でダンパー全体を温めて冷やす、という方法です。加熱し過ぎるとダンパー自体の形状が崩壊しますので、熱風をX秒あてて冷やす&ダンパー位置を確認→X秒は最初は5秒くらいから、戻らなければ熱風をあてる時間を6秒にして再度挑戦、という感じで熱風をあてる時間を徐々に長くしながら作業します。
で、その作業を施したものがこれ
どうです、ちゃんとダンパーの位置が戻ったでしょ?
このままヨークとボイスコイルの間にキツキツのスペーサー(紙など)を挟んで数日の間、この状態で放置して、スペーサーを外しても再び落ち込んでいなければOKです。
次回、リコーン作業でコーン紙を貼れそうです。
続きは以下の記事です:
FOSTEX FW100、レストア作業(リコーン)その3・新コーン調整