FOSTEX 鈍器系エンクロージャーGK10のレストア作業の第2回目記事です。
以下の記事の続きです:
・FOSTEX GK10、レストア作業その1〜分解と洗浄
再塗装する方針は決定していたのですが、「どのように塗装するか」でしばし悩みました。
・表面の痛んでいる部分をサンドペーパーで均してスプレーで簡易塗装
・塗料を剥離して下地からやり直す全面的再塗装
あまりに激しいアルミ腐食のため、前者は無理でした。サンドペーパーで均して塗っても腐食のアバタが塗装乾燥後に目立ってしまいます(いちお、試しました)。少し面倒ですが後者で行きます!
まず、表面の状態です。
赤丸で囲んだ箇所、このような吹き出物のようなものが無数にあります。これは鋳物肌でもなく、リンクル塗装によるちぢみ肌でもなく、腐食です。爪で軽くカリっとやるとボロボロと剥がれます。塗装剥げの縁に薄っすらと見える赤っぽいのは、赤錆ではなく下地剤の色です。
軽く真鍮のワイヤブラシで擦っただけでこの有様です。
真鍮ワイヤブラシで全体を擦って均した後、塗装の剥離剤で塗装を剥がします。画像の左側に均した状態のエンクロージャーが見えると思いますが、塗装剥げの箇所はほぼ腐食箇所です。
4輪2輪の剥離剤で一般入手できるものでは強めのものです、手につくとピリピリと痛いヤツです。たっぷり塗って20分ほど放置したところで塗装が浮きますので、スチールウール(金ダワシ)とワイヤーブラシでガシガシ古い塗装を剥がします。
黒の塗装はあっさり剥がれたのですが、下地剤(プライマー)と思しき紅色のものが落ちませんので、再び剥離剤を塗って放置→再度、スチールウール&ワイヤーブラシでガシガシ古い塗装を剥がす、という作業を行います。
塗装を完全に剥離した状態がこちら
鋳物肌にごくごく薄っすらと下地剤が残ってますが、ま、大丈夫でしょう。水洗いで剥離剤を落とした後、シンナーを染み込ませた布で何度も入念に拭きました。
それにしてもかなりワイルドな造りのエンクロージャーです。砂型で鋳造して型から抜いたまんま、みたいな(笑)。製造時の凸凹が凄いっす。
さて、塗装です。
塗装の仕上がり具合は下地造りで決まると言ってもいいほどですが、本来であれば表面の凸凹をキレイに均してパテで凹みを埋めたり、といった作業を行いますが、このエンクロージャーの場合、鋳物肌特有のザラつきがあるのが個性です。ということで、今回は特に表面の均し作業は行わず、下地剤(プライマーとサーフェーサー)を塗ります。
プライマを塗った後、サーフェーサーを塗ります。プライマは透明なため、画像は割愛、サーフェーサ塗りです。
薄っすらと塗って、乾いたらもう一度塗ります。厚塗りすると鋳物肌が埋まってしますので、あまり厚塗りにならないよう注意します。
サーフェーサーの塗装が完了
このまま次の週末まで放置します。1時間ほどで触れる程度に乾燥するのですが、揮発分の残留がありますので乾燥は長ければ長いほどよいかと。
着色です、色は艶消し黒、エアブラシで塗装します。
画像右のエンクロージャーの前面の凹がちょっと目立ちますね〜
これだけはパテで埋めた方が良かったかも(ちょっと後悔)
ついでに錆びが目立つボルトも、サビを落として塗装しました。
ネジ屋さんに行った時にでも新しいボルトを買ってきます、それまではこれを使わないといけないので…
塗装の後、また次の週末まで放置して乾燥させます。2時間ほどで手で触っても大丈夫な程度に乾燥するのですが、溶剤分が完全に揮発するよう、各段階で余裕を持って作業をします。手で触って問題ないレベルでも、実は揮発分が残っていたります。目安は目立たない箇所に爪を軽く立てて爪痕がつかないこと(2〜3時間の乾燥では塗膜は完全乾燥には至らず爪痕がつきます)。
塗装が終わったエンクロージャーはネジ穴が剥離剤のカスや塗装で埋まっていますので、タップを通してネジ穴をキレイにします。
隅のネジ穴は止め穴なのでスパイラルタップを使います。
ネジ穴が痛んでいる場合、再タッピングされますので、画像のように少量の切削クズが出てきます。
最後にボルトを通してネジ穴の確認。
以上で塗装が完了です。
塗装の作業の記事として一連の作業を1つにまとめましたが、実際には2週間以上の日数をかけています。塗装自体は下地のパテ埋めや仕上げのクリアコーティングなどがありませんので初級レベルの難易度でしょうか。とはいえ、急いて作業すると失敗したりします。失敗しない塗装のコツは
・丁寧な下地造り
・余裕を持った作業
に尽きるかと。
続きは以下の記事です: