久々のレストア記事です、ワタクシ自身もレストア作業は久々です。
対象のブツは1983年頃のDIATONEのDS-161。
ネットを検索してもオーディオの足跡さんとこ以外、これといった情報はありません。
見事にボロボロです(笑)。確かヤフオクで1000円くらいで開始価格のまんま終わりました。1983年あたりというと、オーディオ業界が「デジタル化」とか「デジタル対応」に翻弄され迷走した時期でもあり、本機DS-161はその典型的な迷走モデルでありました。ま、こんなの欲しがる人はいないだろうと…
80年代の前半は各社とも迷走してて、SONYはAPMにご執心な時期で出すものすべて四角いフラットウーファー。Lo-DもHS-MD5などフラットウーファー出したり。さらに売り上げに陰りもあり、CD時代の幕開けでデジタルっぽいゴテゴテなデザイン(笑)で目を引く樹脂パーツを多用したモデルが乱発された時代でもありました。DENONのSC-C5SとかONKYO D-1Rとかも当時を象徴するモデルだと思います。
スピーカーはまだマシな方で同時期のアンプやカセットデッキの普及モデルのデザインは酷いもんです。ただ、本機も含めてこの時代のスピーカーをいくつか入手して聴いた経験から、デザインやコストダウン感はありますが、まだ70年代末全盛期の情熱が各メーカーに残っていたせいか音質はそれほど悪くないのが救いかと。
んで、ワタクシ、なぜこれを入手したかというと、コイツに使われているスコーカーが以前レストアしたAIWA SC-E80のスコーカーと同じものではないだろうかと。
AIWA SC-E80のスコーカーがこれ
似てるでしょ?保護ネットなんかまんま同じじゃないかと。もしかするとDIATONEがAIWAにOEM供給したのではないか?という疑問をクリアするために入手したのです(先に結果からいうと違いました、別物です・笑)。
とりあえず、スコーカーの謎はさておきですね、せっかく入手したのでどんな音が出るのか聴いてみたいじゃないですか。あのDIATONEが「時代はデジタル!」に翻弄されて出した迷走モデルだし。各部を調べたところ、ウーファーのエッジが朽ちていることとキャビネットに傷が多い以外は問題はなさげなのでレストア作業スタートです。
ウーファーの枠はこの時代のコストダウンモデルにありがちなプラ製の化粧枠がついてて、それを外すとスチールフレームのウーファーが現れますんで取り外します。
エッジの朽ちたウーファーの取り扱いって、朽ちたエッジがボロボロと散らばるので気を使います。吸音材なんかに散らばると取り除くのが非常に面倒くさいですし。本機のエッジはウレタンゴムで触るとパリパリと小さな破片になりますんで気を使います。
すべてのユニットを取り外しました。
んで、早速ですが、本機のスコーカーとAIWA SC-E80のスコーカーを比べてみたいと思います。
左が本機DIATONE DS-161で右がAIWA SC-E80のスコーカーです。
パッと見、同じくらいの大きさに見えますがサイズ感はかなり違います。
どれくらいサイズ感が違うかというと裏面のマグネットまわりをみれば一目瞭然です。
DS-161のマグネット径は70mm、SC-E80のマグネット径は100mm。SC-E80のスコーカーの重量感はなかなかのものです。DS-161はスカっと軽いです、当然ながらもう完全に別物です。
DS-161の前面の保護ネットを外します。
これがなかなかクセ者で、保護ネットがハマる溝にボンドでがっちりくっついてます。ボンドを溶解するのにラッカーシンナーを流し込むのですが、フレームがプラスチックなのでシンナーに侵されないよう注意深く溝部分にだけジワジワとラッカーシンナーを流し込みます。数分でネットが持ち上がるようになりますので変形させないよう注意して持ち上げます。
で、保護ネットを外した状態がコレです
ダイアフラムのドーム部分の大きさはどちらも4cmです。DS-161の方はフィクスドエッジのような感じ、SC-E80の方はロールエッジです。材質はDS-161がジュラルミンのハードドーム、SC-E80はハードドームっぽいですが布系素材のドームに金属っぽい表面剤が塗布されたソフトドームです。ダイアフラムの質感の良さはさすがダイヤトーンです!
ということで結論、DS-161とSC-E80のスコーカーは別物。
保護ネットの形状が似ているだけ、でした…
次回、本機のレストア作業になります。
続きは以下の記事になります:
・DIATONE DS-161、マイナー機種のレストアその2